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〈君も立て 若き日の挑戦に学ぶ〉第29回 

総務の戦い

2023年5月26日

 

          学生部総会を社会への重要な発信の場とした池田先生。

          第11回学生部総会では、「日中国交正常化提言」を発表した

                    (1968年9月8日、東京・日大講堂〈当時〉で)

 

 

百兎でも千兎でも

 1959年(昭和34年)6月、池田先生は、総務就任から1年に当たり、恩師の名代として、広布

の指揮を執る思いを記した。

「(戸田)先生の偉大さを、沁々と知る今日。誰からも信頼される、立派な力ある指導者になることだ。報恩──若き、慈悲のあ

る指導者に」(『若き日の日記』、1959年6月25日)

池田先生は、師匠への「報恩」を心に刻み、総務としてさらなる激励の波を起こしていく。その焦点の一つが学生部だった。

同部は、57年(同32年)6月30日、戸田先生のもとで結成。池田先生は恩師と同じ心で学生たちに慈愛を注いだ。

58年(同33年)6月、先生は東京・目黒公会堂(当時)で開催された第1回学生部総会に出席。10月に行われた学生部の女子部員

会では、「学生部の先駆者として、青年として、私が行くところ、進むところは楽しい世界になるんだといえるようになってほし

い」と期待を寄せる。

59年6月14日の関西指導の折、男女学生部が集う関西学生部員会に臨み、学生部の使命を述べた。「広宣流布というのは最高の文

化の建設です。全学生部員が、それぞれ指導的な分野に入ってもらわなければ、その基盤をつくることはできない」

迎えた6月28日の第2回学生部総会では、三つの指針を示す。1.情熱もって信心・勉学に励め2.目的観をしっかり持て3.広布の重

責担う人材に、である。学生部員たちは指針を胸に、新たな前進を開始した。

先生は、学生部との懇談も重ねた。ある時、メンバーの育成について、学生部幹部に語った。「今の学生は孤独なのです。信仰を

持たない青年というものは、心の扉を開こうとせず、一人で悩んでいるものです。信仰を持っていても、まだ大仏法のすごさを実

感していない段階にある。だから、そこに至るまでは、まず友人になることが大切です」

懇談の場で、大学生活と学会活動の両立について質問を受けた際には、こう述べた。

「力があれば二兎といわず、百兎でも千兎でも追いなさい」

 

物心ともに幸せになるのがこの信心

 御書講義をする池田先生(1972年8月、静岡で)。小説『新・人間革命』

第17巻「本陣」の章では、御書根本の重要性についてつづられている――

「創価学会が広宣流布の世界的な広がりを可能にしたのは、どこまでも御書

を根本とし、確固たる理念をもち、正しき軌道を決して違(たが)えること

がなかったからである」

 

人びとを動かしゆく根本は、

信心しかない。

雄弁でも、策でも、

金銭でも決してない。

「若き日の日記」1959年(昭和34年)7月10日から

 

恩師の精神にかえれ

 第2回学生部総会が開かれた2日後の1959年(昭和34年)6月30日、本部幹部会が開催され、学会本部の機構改革が発表され

た。

総務のもとに理事室が置かれ、婦人部、青年部、統監部などの12部門すべてが総務のもとに統括された。池田先生は総務として

学会の実質的なかじ取りを担ってきたが、組織機構が整備され、名実ともに先生を中心とする体制となった。

先生は、一人立つ不惜身命の覚悟を記している。「学会も、大きな急坂道に入る。大事な時に、忍辱の力をもたねば。決然とし

て、目的のために、死を覚悟する友は少なし。同志少なし。これが、大聖人の仏法の縮図か」(『若き日の日記』、1959年7月6

日)

戸田先生の逝去から1年。恩師が貫いた死身弘法の精神が、少しずつ薄れていることに、池田先生は強い危機感を抱いていた。

“戸田先生の時代にかえれ”──創価の新時代を弟子の手で開くため、池田先生が強調したのは、恩師から薫陶を受けた一人一人

が、“師弟の原点”に立ち返ることだった。

先生は、学会発展の“永遠の原動力”について、同年8月号の「大白蓮華」で述べている。

「行きづまったとき、惰性に流れかけたときは、創成期の精神にかえればよい」「いつも、いつも、学会の創成期、信心第一の姿

であらねばならない。

戸田先生の建設精神!!

戸田先生の開拓精神!!

戸田先生の闘争精神!!

その精神を、いつもとおして行くならば、学会はいつまでも発展するのである」

組織の隅々にまで草創の精神を漲らせようと、この時、池田先生が全力を尽くしていったのが、座談会の充実であった。

学会は「座談会」とともに、人材の水かさを増してきた。先生は、ある支部の幹部会に入ると、座談会運動についてこう指導し

た。

「今こそ全幹部が勇んで座談会に参加する時です。信心の確信にあふれる、和気あいあいとした座談会を開催していくなら、折伏

の波動が必ず広がります。

座談会は学会の縮図です。職業も立場も異なる老若男女が、幸福への方途を語り合い励まし合う姿は、現代社会のオアシスといえ

ます。牧口先生、戸田先生も、座談会で不幸に泣く人々と同苦しながら、広宣流布の戦を起こされた。この座談会運動が学会を築

いてきたのです」

7月の本部幹部会では、座談会の充実を図るため、リーダーが組織の最前線に入っていくことが確認された。学会首脳も首都圏の

各支部の座談会を担当し、先生自ら中野支部の担当に就いた。

8月6日、中野支部墨田地区の組座談会に出席するため、江東区に足を運んだ。当時の学会組織は、新入会者が紹介者の組織に所

属する「タテ線」だったため、中野支部といっても、活動の舞台は同区内にとどまらなかった。

「こんばんは!」

はつらつとした先生の声が会場に響く。座談会には、50人ほどが集っていた。

先生は、参加者のさまざまな疑問に気さくに答える。すると、ある新来者が、「医学で治らない病気が、宗教によって治ります

か?」と質問した。

先生は誠実に語った。

「医学は否定しません。なぜかというと、科学ですから。宗教も生命科学です。人間が積んだ宿業による心の働き、生まれもった

差別の実相、これはどうしようもないでしょう。業という問題に対しては自然科学では説けないのです。業という本質を変えてい

くのが、宗教なのです」

 

さあ、御書を読もう

 さらに、仏法の確信を烈々と語った。

「物心ともに幸せになっていくのがこの信心です。私も病気を治しました。生活能力も、人もうらやむような境涯になりました。

希望に燃えています。毎日が生き生きと楽しい。日本の民衆の幸福のことを考えています」

「信心をした者の違いは、これほどまでに変わってくるのです」

確信の言葉に触れ、新来者は入会を決意した。

10日後の8月16日、先生は文京区内の座談会に入り、参加した10人の新来者のうち、7人が入会を決めている。

号令ではなく、自ら最前線に飛び込み、座談会を担当する幹部の姿勢を示していったのである。

59年「黎明の年」の後半戦。折伏、座談会とともに、教学の研さんに力が注がれた。6月26日付の本紙1面トップでは、「さあ、

御書を読もう」との紙上座談会で、先生が数人の幹部に対し、教学の重要性を語っている。

「青年であろうがだれであろうが、心ある学会人は、みんな御書を心肝に染めてゆく義務がある」

「どの一節であろうが、どの一行であろうが、真剣にそれを自分のものにしてゆくという努力が必要」

さらに、教学の薫陶においても、恩師の時代に立ち返ることが確認された。

同じ日の紙面には、7月から全国17都市で一般講義がスタートすることが掲載されている。

同講義は、戸田先生が毎週金曜日に東京・豊島公会堂(当時)などで行っていた伝統の講義である。

一般講義の全国展開は、池田先生の提案だった。教学部の教授陣が担当として派遣され、先生は第1回の担当として福岡市に入る

ことが決まった。

7月27日、福岡市での一般講義に出席すると、「戸田先生の約束を果たさせていただくためにまいりました」と前置きし、「可延

定業書」の講義を開始した。

その2年前の57年4月、第1回九州総会の席上、戸田先生は、「毎月1回、自ら出席し、御書講義を行う」と語っている。恩師の遺

志を継いで、池田先生は、一般講義の担当として福岡に足を運んだのである。

講義の中では、こう師子吼を放った。

「辛ければ辛いほど、苦しければ苦しいほど、難があればあるほど、真剣に御本尊に祈り切っていくのです」

この夏、先生は、自宅で青年部幹部に「立正安国論」を講義している。夏季講習会では、戸田先生の論文「創価学会の歴史と確

信」に触れながら、学会員として生きる誇りを訴えた。

「七百年の間、創価学会のごとく如来の使いとして出現した団体はありません。学会のみが大聖人の御金言にかなって、化儀の広

宣流布をすべき宿命があり、因縁がある団体なのです。

学会員になったということは、どれほどの福運か、はかり知れません。学会にきちっとついて信心修行するならば、絶対の幸せ、

仏になることは断じて間違いないんです」

座談会、折伏、教学──一つ一つの実践も、自身の人間革命に挑む誓願が漲ってこそ、大きな広布の推進軸となる。

池田先生は、総務の深い責任に立ち、休む間もなく同志に励ましを送り続けながら、“地涌の使命”に生き抜く誇りと喜びを呼び覚

ましていったのである。

 

 

 

 

 

 

 


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