2023年3月19日
創価大学の中央図書館を訪れた池田先生
(2004年1月)。
同図書館には、若き日に愛読した
歴史家カーライルの書籍など、
先生が寄贈した約7万冊の本が「池田文庫」
として収められている
一、逆境の坂道を勇み上りゆく正義の若人の生命には、必ずや天の喝采と大地の祝福が待っています。
わが愛する皆さんは、コロナ禍など何重にも制約や不自由が課される中、歯を食いしばり、学友と励まし合って、探究と錬磨の道
を走り抜いてきました。
一人一人を讃え見送るように、キャンパスの桜も時を逃さず咲き始めたではありませんか。
創大は49期生、短大は37期生、また大学院生、さらに通信教育部の皆さん、そして世界25カ国・地域から集ってくれた留学生の
皆さん、本当におめでとう!
辛労の絶えない社会状況にあって、海よりも深い愛情で支え、見守ってくださった、ご家族の方々にも、心より感謝とお祝いを申
し上げます。
光栄にも、尊敬してやまないトゥーリー副総長はじめ英国・バッキンガム大学の先生方、また、ドイツのブリュック博士ならびに
ご来賓の先生方に、温かく旅立ちの式典を祝していただき、誠に誠にありがとうございます。
一、誉れの卒業生の前途へ、きょうは一言、「生命の尊厳光る正道を進め!」「希望と信頼の花咲く大道を開け!」と申し上げ
たい。
我らの先師・牧口常三郎先生が「創価教育」の中心に定められたのは、「生命の尊厳」であります。先生は自ら、その信条に殉
じ、獄死されたのであります。
不二の師弟である恩師・戸田城聖先生と私は、折々に古今東西の教育思想や人材育成に学びつつ、牧口先生の悲願である創価大学
の構想を語り合いました。ある日、私が感銘を受けた、19世紀の英国の歴史家カーライルの言葉を申し上げたことがあります。
「時代の要求するものを真に見抜く叡智と、正道を踏んで時代をそこに導く勇気とは、これこそ時代の救い」なのであると(入江
勇起男訳『英雄と英雄崇拝 カーライル選集2』、日本教文社)。
すると戸田先生は即座に、「牧口先生は、そういう力ある英知の人材を育てることを願っておられた。それが創価大学だ」と応じ
られたのであります。
時代の危機と真っ向から格闘してきた皆さんは、まさに、この英知を磨き、この勇気を鍛えてきたことを誇りも高く自負していた
だきたいのです。
本日ここにお迎えしたトゥーリー副総長は、「地球上の最も遠い場所」にまで、命を懸けて教育の陽光を送り届けてこられまし
た。副総長方と私たちは、人間教育の連帯が持つ無限の可能性を信じ、手を携えて行動する同志なのであります。
国際性・多様性・独創性・人間性に満ちた、平和の学府から巣立つ皆さんは、世の分断や対立の闇を打ち破る、聡明にして快活、
誠実にして強靱なる価値創造の生命の光を、昇りゆく旭日のごとく放っていってください。そして、いずこにも希望と信頼の花咲
く大道を、負けじ魂朗らかに開いていただきたいのであります。
一、結びに、教員の先生方、職員の方々と一緒に、皆さんの健康と幸福を祈りつつ──
満開の
桜のごとく
勝ちまくれ
世界の民衆に
笑みを咲かせて
と贈り、私の祝辞といたします。
ご家族を大切に! 一人ももれなく和楽と友情と福徳に溢れた人生であれ!(大拍手)