2023年3月17日
創価学園の卒業式が16日、東京・関西の高校、中学校、小学校で開催された。創立者の池田大作先生は和歌とメッセージを寄
せ、「コロナ禍をはじめ、かつてない試練を凜然と勝ち越えてくれた」と卒業生を祝福。英知を磨き、力をつけ、戦争などの野蛮
さを永久に追放するという悲願の実現へ、「地球民族の新たな前進の先頭に」と呼びかけた。
厳冬を越えて、春の花がほころび始めた東西のキャンパス。ここかしこに学園生の輪ができ、笑顔がはじける。だが振り返れば、
そんな“当たり前”が“普通”ではない3年間だった。
2020年4月、東京校53期・関西校48期の学園生活は学校史上初となる“オンライン入学式”で始まった。社会には、コロナ禍の不
安が渦巻いていた。政府の要請を受けた全校休校で、学校に行けない日々が続いた。6月から分散登校、ようやく7月に通常登校
となる。その後も、休校が重なり、伝統の学園行事もさまざまな制限のもとで行われた。
そんな日々に抱きしめたのは、入学式での「大いなる使命の青春には、大いなる試練があります」という創立者のメッセージだ。
決意と喜びの笑顔が舞う創価高校の式典。
卒業を祝い、皆で角帽を投げ上げた
(東京・小平市の創価学園・池田中央体育館で)
試練を勝ち越え凱歌の門出
東京・創価高校のある男子卒業生は、高校入学から数カ月後
に、母を病気で亡くした。人前では気丈に振る舞うが、夜にな
ると寂しさが襲う。そんな彼に友人や教員が常に寄り添い、支えてくれた。
彼は皆の励ましを胸に、家族を支えながら、勉強とともにサッカー部の練習にも全力で挑んだ。
「苦しみがあったから、周りの支えに気づける自分になれた」――試練をバネに大きく成長した彼は、“母への感謝を将来の活躍
で示したい”と、外交官を目指して創価大学に進む。
コロナ禍で、部活動の在り方も試行錯誤の連続だった。
東京・創価中の桜
関西創価高校のある女子卒業生は、片道2時間の通学で、勉強や読書に
励みながら、箏曲部での鍛えの日々を過ごした。集まって練習できない時
期も、弾き方を収めた動画を共有し、オンラインで学友と励まし合った。
また、部長として部をけん引した。“日本一の振る舞い”を目指して、日頃
から気持ちの良いあいさつや姿勢を心がけた。強く団結した同部は、昨夏
の全国高等学校総合文化祭で見事、日本一である「文部科学大臣賞」に初めて輝いた。彼女は大学で、教育の道を目指す。
このほかのクラブも活躍が光った。吹奏楽、鼓笛、ダンス、ディベート、囲碁、書道パフォーマンス、合気道などが全国レベルの
舞台で躍動した。
また、オンラインを生かす学びも広がった。ブラジル創価学園をはじめ海外の青年と社会課題を語り合うなど、国際的視野を培っ
た。英語検定準1級以上の取得者は、東西の高校を合わせて50人を超え、国際会議に参加した生徒もいる。
負けじ魂で勉強、部活に挑戦し、晴れやかに門出を迎えた東京中(小平市)の53期生
度重なる試練に挑み抜いた卒業生を、池田先生はメッセージでたたえた。
「負けない青春は、なんと誇らしいことでしょうか。苦難に勇んで挑む若き生命は、尊貴なる光を放っています」
世界が感染症や紛争の危機の中にあるからこそ、より一層、世界の人々と同苦する“世界市民の心”を磨いた学園生。
卒業式は、さらなる活躍の舞台へ、飛翔を誓う式典となった。
卒業式は各キャンパスで行われた。
創価高校(東京・小平市)の式典では、新任の谷謙作校長が負けじ魂を胸に、勝利の鐘を打ち鳴らそうとあいさつ。前田将太さ
ん、澁谷美佳さんに創立者賞が贈られた。創価中学校(同)では、江間校長が新しい伝統を築いた卒業生を祝福。創立者栄冠賞の
受賞者が紹介された。東京創価小学校(小平市、国分寺市)では、塩田校長が児童の粘り強い挑戦をたたえた。
東京の式典に参加した谷川学園理事長は、平和の世紀を開く世界市民にと呼びかけた。
関西創価高校(大阪・交野市)の卒業式では、広瀬勝利さん、直里美紀さんに創立者賞が贈られ、大月校長が平和のバトンを未来
へつなごうと述べた。関西創価中学校(同)では、古賀校長が報恩感謝の心で幸福の花を咲かせようと門出を祝った。代表に創立
者栄冠賞が授与された。
関西のそれぞれの式典には、中西関西学園長が出席し、生涯探究の人生をと語った。
関西創価小学校(大阪・枚方市)では、本房校長が友情を広げ、創価の大樹へと伸びゆこうとあいさつした。
また各会場では、牧口賞、創価池田女子大学賞、セトゥ・バスカラ学園賞、ガンジー平和賞、マカオ大学最優秀賞、魯迅青少年文
学賞などの受賞者も紹介された。