〈教学〉
2023年3月5日
御文
『ただひとえに思い切るべし。今年の世間を鏡とせよ。そこばくの人の死ぬるに、今まで生きて有りつるは、このことにあわん
ためなりけり。これこそ宇治川を渡せし所よ。これこそ勢多を渡せし所よ。名を揚ぐるか、名をくだすかなり。』
(御書新版2085ページ7行目~9行目、御書全集1451ページ10行目~12行目)
[池田先生の指針から]真剣勝負の強盛なる祈り
(日蓮)大聖人は、「思い切れ」と仰せです。同じ戦うのなら、「断じて勝つ」と腹を決めて戦い切るのです。人は敵と戦う前
に、己心の弱さに負ける。何よりもまず、その心中の賊に勝たねばならない。とともに勇気と蛮勇は違う。現実と真正面から向き
合うところに真の勇気があります。そこから今、何を為すべきか、明瞭に見えてくるのです。
宇治川も瀬田川も、「源平合戦」「承久の乱」など、古来、激しい攻防戦を繰り広げた、歴史に名高い戦場です。ここで競り勝つ
か、後れを取るか、勝負を決せんと、勇者たちは必死でした。同じく、広宣流布の戦いにあっても、「ここが勝負」という急所が
ある。(『信仰の基本「信行学」』)
◇ ◇ ◇
戸田先生は語っている。
「魔が強いからこそ、勝てるのだ。信心が毅然として、そのうえで、魔が強いということは、必ず勝てるという証拠なのであ
る。要は自分自身の信心の決心にかかっている」
魔が競い起こったときこそ、もう一歩も二歩も、大きく成長していくチャンスなのである。
大聖人は、大事な破邪顕正の戦いに挑む弟子に言われた。
「但偏に思い切るべし」(全1451・新2085)と。
そして、「『釈迦・多宝・十方の仏よ! 来り集まって、わが身に入りかわり、我を助け給え!』と祈念しなさい」(同、通解)
と。
大事なのは「勝つための祈り」だ。真剣勝負の強盛なる祈りだ。
今こそ一人一人が、わが生命に、仏菩薩も、梵天・帝釈も、「入其身(其の身に入る)」させるのだ。そして仏の力、仏の智慧を
思う存分に発揮していくのだ。(2010年1月、全国各部協議会でのスピーチ)
“断じて勝つ”と
喜び勇んで戦う!
[キーワード①]仏法の力を証明する時
“今まで生きてきたのは、この戦いに臨むためである!”――日蓮大聖人は、念仏僧との法論に臨む門下の弥三郎に励ましを送ら
れました。
当時、四条金吾や南条時光ら大聖人の門下は、法華経を信仰するがゆえに競い起こった迫害等の難に直面していました。
そのさなかにあって、弥三郎が念仏僧との法論に勝つことは、日蓮門下の正義を示す意義があったといえます。
ゆえに大聖人は、重大な広布の使命を担う弥三郎に対して、“今まで生きてきた意味は、法華経ゆえの難である法論に臨み、勝利す
ることにあったのだと思い切りなさい”と、深き使命を自覚し、全力を出して戦うように教えられたのです。
渾身の師の励ましに、弥三郎は、大きな境涯で法難を捉え返し、立ち向かう勇気が湧き出てきたことでしょう。
厳しい戦いの時こそ、自身が試されます。いざという戦いの時に、“広布のために”という大願に立ち返れば、これまで以上の大き
な力を出すことができるのです。
小説『新・人間革命』第1巻「開拓者」の章には「逆境であればあるほど、人生の勝負の時と決めて、挑戦し抜いていくことであ
る。そこに御本尊の功力が現れるのだ。ゆえに逆境はまた、仏法の力の証明のチャンスといえる」とつづられています。
眼前の困難な戦いもすべて、自身の広布への誓願によって、必ず乗り越えていける!――本抄に込められた、大聖人の力強いメッ
セージに心が奮い立ちます。
[キーワード②]諸天をも動かす行動を
琵琶湖から流れる瀬田川とその下流の宇治川は、東国と畿内の境界に当たります。“戦いの急所”となるそれらの川を、先陣を切
って渡った者の勲功は大きかったと思われます。
拝読御文では、その例えを用いて、“法華経ゆえの難と戦えば、境涯が開ける!”と、大聖人は仰せです。
続く箇所では、「『釈迦・多宝・十方の仏、来集して我が身に入りかわり、我を助け給え』と観念せさせ給うべし」(新2085・全
1451)と、強盛な祈りで法論に臨むよう弥三郎に教えられています。
大聖人は迫害に遭われる中、御書の随所で、三世十方の諸仏や菩薩、諸天善神に“法華経の行者である日蓮を守護せよ”と厳しく諫
められています。さらには、「諸天善神も日蓮を見捨てるなら見捨てよ。諸難に遭うなら遭おう。身命をなげうっていくだけであ
る」(新114・全232、通解)とも仰せです。
困難を恐れて、諸仏や菩薩、諸天善神の守護を待つのではない。強き祈りで、「必ず勝つ」と行動を起こすことで、諸天をも動か
していくことができるのだ!――大聖人に連なる法華経の行者の魂は、ここにあるのです。
池田先生は「大事なのは行動だ。何もしなければ、何も変わらない。祈り、そして一歩を踏み出して、行動を起こしていくところ
から、すべてが始まる。智慧が生まれ、諸天が動く。状況も好転していくのである」と語っています。
広布の“急所”に直面した時こそ、勝利へ、喜び勇んで行動を起こしていきましょう!