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HEROES 逆境を勝ち越えた英雄たち〉第28回 

アウストレジェジロ・デ・アタイデ

2023年2月12日

 

未来は、ひとりでに、やってこない。
人間自身が切り開くものだ。
私たちは言葉を最大の武器として戦うのです。

 

    池田先生のブラジル文学アカデミー「在外会員」就任式。

    アタイデ氏㊥は“池田氏を迎えることは全会員、

    全国民の意思です”と

            (1993年2月12日、

             リオデジャネイロの同アカデミーで)

 

 1993年2月12日、池田大作先生はブラジル文学アカデミーの「在

外会員」に就任した。

1897年に創立された同アカデミーは、ブラジル現代文法の研究や文学の発展に重要な役割を果たしてきた“南米最高峰の知性の殿

堂”である。

40人の国内会員と20人の在外会員は、いずれも終身制。「会員に選ばれるよりも大統領に当選する方が容易」と言われるほど、そ

のメンバーは厳選されている。

現会員の推薦によって選考される在外会員には、レフ・トルストイ、エミール・ゾラなど、そうそうたる顔ぶれが名を連ねてき

た。

先生を東洋人初の在外会員に推したのは、同アカデミー総裁のアウストレジェジロ・デ・アタイデ氏。ジャーナリストとして正義

のペンを振るい、幾多の苦難を乗り越えてきた“言論の獅子”だ。

1948年に国連で採択された「世界人権宣言」。その起草にブラジル代表として尽力した後、59年に総裁に就いた。同宣言の起草

者であるフランスのルネ・カサン博士は、ノーベル平和賞を受賞した際、“この名誉をアタイデ氏と分かち合いたい”と述べてい

る。

そのカサン博士を通じて、氏は先生の存在を知る。トインビー対談などの著作を読み込み、平和・教育思想に深く共感。先生のこ

とを新聞のコラムにもつづった。

先生と出会う前年の92年には、リオデジャネイロで開かれたブラジルSGI(創価学会インタナショナル)の文化祭に来賓として出

席。先生の哲学が観念ではなく、事実として青年の中に脈打っていることを実感した氏は、“池田氏に会ってみたい”との思いを一

段と強くする。そして、自身が総裁になって以来、初めて在外会員の推薦を出したのである。

在外会員の就任式で氏は、先生をアカデミーの一員に迎える喜びを次のように表現した。

「未来は、ひとりでに、やってくるものではありません。人間自身が切り開くものです。その人間の一人が、池田大作氏です」

「当アカデミーは、これまで常に『人間の尊厳』について追求してきました。池田氏の人格の偉大さは、その歩みにふさわしい」

「私たちの時代の『美しきもの』とは、人間に対する『信頼』『信仰』によって培われるものです。そして、未来は、私たちの手

によって築かれるものなのです」

就任式に先立つ会見では、先生にこう呼びかけている。

「共通の『未来』へ、ともに手を携えて進もうではありませんか」「崇高なる『言葉』を最大の武器として、戦いましょう」と。

“地球の反対側”で実現した式典から、きょうはちょうど30年である。

 

【アタイデ氏を語る池田先生】
いかなる世界であれ、最後まで戦い続けた人が勝つ。
その原動力は不屈の「決意」「責任感」である。
「私は世界一、幸福だ」と誇れる                                             勝利の人生であっていただきたい。

【アウストレジェジロ・デ・アタイデ】
どうすれば皆が自由に人間らしく
暮らせるかを考え、努力する──
そうした人々の連帯が平和を築く。

 

 

      リオデジャネイロに到着した池田先生を、

      熱烈に歓迎するアタイデ氏㊧

       (1993年2月9日、ガレオン国際空港〈当時〉で)。

      この日の感動を氏は「人類の運命の行方を決める一人、

      池田大作氏を迎えることができた」と、

      現地の新聞につづった

 

 アタイデ氏は1898年9月、ブラジル北東部のペルナンブコ州に生まれた。

聖職者の道を志し、10歳で神学校に入学。以降8年間、寄宿生活を送った。成績は常に最優秀で、多くの言語や、あらゆる学問を

学び、豊富な知識を身に付けた。

弁論の才能にも優れていた。ある時、学校で自由主義をたたえるスピーチを行うと、演壇から降ろされ、校長である司祭に「神父

は政治活動をしないものだ」と叱責された。“自分の意見を言うことが、なぜ悪いのか”──聖職者という進路に疑問を強めた氏

は、最終的に神学校の退学を決断する。

校長に別れを告げに行くと、思いもかけない言葉をかけられた。“君はジャーナリストに生まれついており、演説者としての天賦の

才能をもっている”。これが氏の人生を決定づける指針となった。

その後、法科大学(現在のリオデジャネイロ連邦大学)へ進み、1921年に学位を取得。“国の発展のために尽くしたい”という夢を

抱き、新聞記者としての歩みを開始する。

だがそれは、いばらの道だった。30、40年代、自国の独裁政権を真っ向から批判し、3度の投獄、3年間の国外追放。それでも

「民衆運動を破壊する勢力に抵抗するもっとも有効な手段は、“言論”である」との信念を貫き通し、正義の論陣を張り続けた。

第2次世界大戦後は「世界人権宣言」の草案作成に尽力。文化的・民族的背景の異なる各国の意見がぶつかり合う中、氏は永遠に

人々の人権を保障する宣言となるよう最後まで議論を尽くした。そして48年、第3回国連総会での採択を実現させたのである。

同宣言の精神を現実化していくために必要な努力は何か。

かつて氏は、本紙のインタビューで、こう答えている。「平和というものは、一人の人間の力によってつくられるものではありま

せん。一人一人がそれぞれの立場で、どうすれば人々が自由を享受し人間らしく平和に暮らしていくことができるかを考え、実現

のための努力を払っていく──そうした人々のネットワークのなかに確たる平和が築かれると思います」と。

生涯で書いたコラムは5万本。テレビに20年、ラジオには30年にわたって毎週出演するなど、90歳を過ぎても休まず働き続けた

氏。

「大事なのは、自分の決意の深さである。自分が決めた仕事を最後まで果たすことである」。そう述べた氏の“戦う精神”を伝えつ

つ、池田先生は創価の友に訴えた。

「いかなる世界であれ、最後まで戦い続けた人が『最後の勝利』を手にする。その原動力は、不屈の『決意』『責任感』である

と、氏は結論されている。皆さまもまた、最後の最後に『私は世界一、幸福だ』『わが家は世界一、幸福だ』と誇れる勝利の人生

であっていただきたい」(1991年12月14日、第20回婦人部幹部会、江戸川・葛飾・足立文化音楽祭でのスピーチ)

1993年2月9日、アタイデ氏はリオデジャネイロの空港にいた。ブラジル文学アカデミーの在外会員就任式などに出席する池田先

生を出迎えるためである。

氏は先生が着く2時間も前から貴賓室で待機していた。

当時、94歳。体調を気遣う周囲の声もあったが、氏は「私は、94年間も池田会長を待っていたのです。1時間や2時間は何でもあ

りません」と。やがて先生を乗せた旅客機が到着し、待望の瞬間が訪れる。

「池田会長は、この世紀を決定づけた人です。戦いましょう! 力を合わせて、人類の歴史を変えましょう!」と呼びかける氏

に、「総裁は同志です。友人です。総裁こそ、世界の“宝”の方です」と応じる先生。

氏は恩師・戸田城聖先生とほぼ同年代である。喜びの出会いの直後、池田先生は「戸田先生が迎えてくださったような気がした」

と感慨を込めて語った。

2日後の2月11日、氏の母校・リオデジャネイロ連邦大学から先生に「名誉博士号」が贈られた。

この日は、恩師の生誕93周年。小説『人間革命』全12巻の新聞連載が完結し、先生は「あとがき」を記した。

先生との出会いから7カ月後、氏は94年の生涯を閉じる。亡くなる直前まで書簡やインタビューを通じて先生との対談集の作成に

取り組み、2人の語らいは『21世紀の人権を語る』として結実した。発刊は95年2月11日。戸田先生の生誕95周年であった。

対談集の「はじめに」に池田先生はつづった。

「仏法者には、仏法の哲理を根本とした、社会への実践を通して、精神性に裏打ちされた『未来社会』を招来する使命と責務があ

ると言ってよい。ゆえに、私は一人の仏教者として、人類の幸福のために生涯を捧げた、戸田会長の弟子としての使命の道を、ア

タイデ総裁とともに歩んでいきたい」

希望の「未来社会」を勝ち開く──永遠に変わらぬ、我ら創価が進むべき使命の道である。

 

 【引用・参考】『21世紀の人権を語る』(潮出版社、『池田大作全集』第104巻所収)、池田大作著『私の世界交友録』(読売新聞社、同全集第122巻所
収)、同著『大道を歩む 私の人生記録3.』(毎日新聞社、同全集第127巻所収)ほか書籍「ヒーローズ」が好評発売中
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