〈世界広布のわが舞台〉第40回
2023年2月7日
シームアン支部のターンスム地区・
シームアンマイ地区合同で行われた座談会。
約3年ぶりの対面での開催となった
(本年1月)
タイ東北部のウボンラーチャターニー県は、カンボジア、ラオスとの国境沿いに位置し、のどかな田園風景が広がる地域です。
この地で豪雨災害などの苦難を乗り越え、信頼と友情の輪を幾重にも広げるターンスム地区の友に話を聞きました。
県名であるウボンラーチャターニーは“蓮華の都”の意で、沼地には多くのハスの花が咲き誇る。
「仏法に響き合う良い地名だと思いませんか?」と、笑顔で語ってくれたのは、昨年12月までターンスム地区の地区婦人部長を務
めていたカムピン・ウェーウペット支部副婦人部長。家族で米の生産などに従事する。“広布のために”と、400人が収容できる部
屋を自宅に増築し、個人会場として提供する。
「私たちの地域は、農家が多いんですよ」
そう話すソムクワン・ピウカム副支部長(昨年12月まで地区部長)もまた、米農家を営む。メンバーの実に7割が農業に携わって
いるという。
水と緑豊かな大自然の天地で学会活動に励む同地区の友。地区の長所について尋ねると、「なんといっても『異体同心』。とにか
くみんな仲が良く、つながりが強い。その力が最も発揮された時期の一つがコロナ禍でした」(ウェーウペット支部副婦人部長)
バイクに乗って
同県で特に新型コロナの感染拡大が深刻だった2021年3月、地区のリーダーたちは真剣に語り合った。
“対面の会合が開けない中で、どうやってメンバーに信心の息吹を伝え、励ましを送っていくか”
「実はオンラインの会合も行っていたのですが、私たちの地域ではインターネットの環境がない人や、機器の操作方法が分からな
い高齢のメンバーが6、7割ほどもいました」(ピウカム副支部長)
“会合に集まれないのであれば、こちらから出向こう!”と、出した結論は「家庭訪問」。
訪ねる際は、活動者全員に“あさって、〇〇さんの所に行きます。一緒に行ける方はいますか?”と声をかけた。
さらに、会いに行くメンバーの悩みに合わせた池田先生の指針を事前に研さんし、感染対策にも留意するなど、万全の準備を整え
た。
訪問当日。集合場所に行くと、バイクに乗った婦人部員数人が待っている。
タイでは、主要な交通手段の一つとしてバイクが普及している。同地区の婦人部の友も、その多くがバイクの免許を持っているそ
うだ。
メンバーの家に到着し、友の姿を確認すると、パッと皆の顔に笑みが浮かんだ。
「よく来てくれたわ。本当にありがとう!」
そこからは半ば“座談会”のように、語らいが止まらない。
悩みがあれば、話に耳を傾け、準備していた池田先生の書籍を手に励ましを送った。
ある友は、夫がアルコール依存症であることを話してくれた。ウェーウペット支部副婦人部長が「私の夫も同じ病気だったのよ」
と。
副婦人部長は、信心根本に夫と問題に向き合い続け、最終的には酒を断つことができた体験を赤裸々に紹介し、「“祈りとして叶わ
ざるなし”の信心だから、一緒に乗り越えていこう」と語ると、メンバーも奮起。後日、依存状態を抜け出すことができた。
同地区の友は、約100キロ離れたメンバー宅にも、往復6〜8時間かけて会いに行くことも。距離は関係ない。どこまでも一人を大
切にすることで、絆は着実に強くなった。励ましを受けたメンバーが、今度は自ら友の元へ足を運ぶようになり、対面の会合が再
開すると、それまで以上に多くの友が集うようになった。
必死の救援活動
「私たちの団結力が試されたことが、もう一つありました」(ピウカム副支部長)
それは昨年10月、ウボンラーチャターニー県を襲った豪雨災害の時のことである。同県を流れるムーン川が氾濫した。
メンバーは川に近い地域に車で駆け付け、友を乗せて避難。米や家財道具などの生活必需品も一緒に運んだ。
この豪雨により、川沿いの集落一帯が浸水し、大きな被害を受け、自宅や田畑が水に漬かってしまったメンバーもいた。
「これまでも洪水があったのですが、被害の状況を目の当たりにし、衝撃を受けました。今回が一番激しい被害だったと思いま
す」とピウカム副支部長は振り返る。
最大の苦難の中で、安全が確認できたメンバーは、救援活動に奔走した。米や飲み物、生活必需品を用意し、水に漬かりながら被
災地域へ。学会員かどうかを問わず、被災した人々に配り歩いた。
また、建築関係の仕事に従事する友は、壊れた家屋の修理をボランティアとして請け負うなど、献身的に動いた。必死の救援活動
の様子は人づてに広がり、地元通信社から取材も受けた。
なぜ、ターンスム地区の友は、これほど迅速に動けたのだろうか。
ウェーウペット支部副婦人部長は、「普段から横のつながりを大切にし、『良き市民』として、地域の発展に尽くそうとしてきた
からだと思います」と。
同地区の友は、伝統的な催事も含め、地元のさまざまな行事に協力するなど、地域のために行動している。こうした貢献に対し
て、他の宗教団体のリーダーからお礼の言葉が寄せられたことも。現在では、あらゆるイベントで、「ぜひ手伝ってほしい」と声
がかかるようになった。
地域に根差し、目の前の一人に尽くし抜くターンスム地区のメンバー。本年1月に就任したワンナー・ソーンヤーモン地区部長と、
婦人部をリードするマライ・ソーンヤーモン地区副婦人部長は誓う。
「これからも地域の繁栄を祈り、次代を担う青年部を大切に育みながら、団結固く進んでいきます!」