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東京富士美術館の「古代エジプト展」 

国立ベルリン・エジプト博物館のツォーン副館長が魅力を語る

2021年10月2日

 

出土品が作られた経緯を解き明かし古代人の心に迫る

 

 東京富士美術館(八王子市)で好評開催中の海外文化交流特別展「古代エジプト展 天地

創造の神話」(12月5日まで)。ドイツのベルリン国立博物館群エジプト博物館(国立ベル

リン・エジプト博物館)から出品された至宝が並ぶ。ここでは、同博物館のオリビア・ツォ

ーン副館長に展示の魅力を語ってもらった。

 

 「古代エジプト」といえば、皆さんは何を思い浮かべますか。ミイラ・マスクやファラオ

(王)の財宝などでしょうか。これまで開催されてきたエジプト展は、そうしたきらびやか

な品々に注目することが多かったといえます。本展は、その出土品が作られた目的や経緯に

迫るとともに、古代人の考え方や文化をより深く知ることに主眼を置いています。
 
私が勤める出品元のベルリン国立博物館群は、ロンドンの大英博物館、パリのルーブル美術館と並ぶヨーロッパ最大級の規模と質の高さ

を誇る総合博物館です。その中で、エジプト博物館は、宗教改革によって個性的な芸術が生まれたアマルナ美術や、パピルス(古文書)

のコレクションを筆頭に10万点を所蔵しています。
 
その中から今回、古代人の心を解き明かすにふさわしい約130点を厳選しました。

東京富士美術館で好評開催中の「古代エジプト展」。ドイツのベルリン国立博物館群エジプト博物館が所蔵する名品が展示され、エジプ

ト神話の世界や文化を間近で体感できる

展示は3章に分かれています。第1章の「天地創造と神々の世界」では、動物をはじめ、天体や自然などあらゆるものに神性が宿るとの考

えが示されます。猫の姿で表現されるバステト神が癒やしの女神として崇拝されるなど、それぞれの作品が持つ意味を知ることができま

す。
 
続く第2章「ファラオと宇宙の秩序」では、ファラオが神と人々をつなぐ役割を担っていたことなど、王の素顔に触れられます。
 
第3章の「死後の審判」では、人々が死後、再生・復活し、生前と変わらぬ幸福な生活を送りたいと思っていたことが分かります。ミイ

ラの風習をはじめ、ミイラ・マスクや棺に刻まれた絵や文字は、そのためのものなのです。
 
こうした背景を知ることによって、一つ一つの作品に込められた思いを感じられるようになり、古代エジプト人の心に近づけるのではな

いでしょうか。

 

100点以上が日本初出品 世界初公開の4000年前のレリーフも

 本展は100点以上が日本初出品です。
 
金でできた「ハヤブサの姿をしたホルス神の小像」は、羽やかぎ爪など、精巧に作られており、当時の技術力の高さがうかがえます。

ハヤブサは、国家の最高神であった太陽神ラーや、ファラオがその化身とされたホルス神の象徴として崇められ、他の作品にもたびたび

登場します。

また、長さ4メートルを超える「タレメチュエンバステトの『死者の書』」も見応えがあります。「死者の書」は死後の世界で危険を逃

れ、生命が永遠に続くようにとの願いがこもった重要なものです。

実は今回、世界初公開となる作品もあるんです。その一つが、「沼地で銛突き漁をする死者を描いたレリーフ」です。4000年以上前の墓

から出土したもので、近年、修復が完了しました。船の上で魚を捕る様子が表現されています。生息域が全く違う魚が描かれており、被

葬者が各所で活躍する有能な狩猟者であったことを示しています。

本展が開催されている東京富士美術館は、自然に囲まれた閑静な地にあり、新たな感性に触れるには最適な場所だと思います。また、美

術館が丘にあることも興味深く感じました。古代エジプトの神話では、世界創世が丘の誕生から始まるからです。
 
ぜひ足を運んでいただき、悠久のロマンに思いをはせながら、心躍るひとときを過ごしてほしいと願っています。

 

◆案内

 ▷会期=12月5日(日)まで。月曜休館。
 
 ▷開館時間=午前10時から午後5時まで(入館は同4時半まで)。
 
 入場料などの詳細は東京富士美術館のホームページを参照してください。
 
 ※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、来館時のマスク着用をお願いします。入場制限等を行うことがあります。また、会期や開

  館時間が変更となる場合があります。

 

 

 

 

 

 

 


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