「世界の友は今2021」 第13回
2021年9月7日
日本の約27倍もの広大な国土を広布の舞台とするカナダSGI(創価学会
インタナショナル)のメンバーは今、オンラインでの会合や励ましを通し
て信頼のスクラムを着実に広げている。「世界の友は今2021」の第13回
では、カナダSGIのトニー・ミアーズ理事長に話を聞いた。
――今の社会状況を教えてください。
カナダでは現在、感染力の強いデルタ株を中心に新型コロナウイルスの
感染者数が再び増加しています(3日現在、1日当たりの感染者は約3540人<7日間平均>)。
マスク着用などの感染対策とともに、国が強力に進めているのがワクチンの接種です。政府は早ければ9月末に連邦政府職員のワクチン
接種を義務化する意向を発表。また大都市トロントのあるオンタリオ州では、9月下旬から屋内のレストランや劇場などを利用する際に
ワクチン接種完了の証明書を提示するよう求める方針です。
既に70%に上る国民が1回以上のワクチン接種を終えました。こうした努力で、重症者と死亡者の数は抑えられています。
同志との絆を一段と
――コロナ禍の中、学会活動をどのように進めてきましたか。
カナダでは昨年の3月中旬以来、オンラインの会合を中心に励ましを広げてきました。
新しい形の活動によって、全国規模の会合も行いやすくなりました。本年6月には全土をオンラインで結び、池田大作先生の2度目のカナ
ダ訪問から40周年を記念する集いを開催。メンバーの多様性を尊重しようと、英語、フランス語、中国語、広東語の同時通訳を実施しま
した。
地区ごとの集いも大切にしています。
座談会では、池田先生の講義「世界を照らす太陽の仏法」や小説『新・人間革命』などを研さん。ディスカッションを軸に、互いの悩み
や近況を報告しています。
そうした中、地区のスクラムの大切さを感じるエピソードも寄せられています。
あるメンバーは、夫妻とも新型コロナウイルスに感染。特にご主人の症状が重く、一時は生死の境をさまよいました。
その際に支えとなったのが、周囲の同志の存在でした。皆でリレー唱題を行うなど、夫妻を全力で応援。オンラインで真心の励ましを送
り続け、夫妻は無事に回復することができました。
たとえ、対面で会えなかったとしても、心と心をつなぎ、絆を強めていくことができるとの確信を深めています。
――会合には新しいメンバーも多く参加しており、そうした方々を対象にした取り組みも行っているそうですね。
毎週水曜日、トロントとオタワを中心に「オンライン仏法入門講座」を開催しています。十界論や師弟などについて研さんし、体験発
表も行います。毎回30人ほどの友人やメンバーが参加し、学会の理解者が着実に増えています。
また、座談会やオンラインでの一対一の激励は、多くの友人が学会の輪に加わるきっかけとなっています。
コロナ禍で感じるのは、今まで以上に多くの人が仏法を求めているということです。
ある壮年は、昨年の5月に信心に出合いました。当初は家族の悩みに押しつぶされそうになっていましたが、オンラインで心を合わせて
一緒に唱題し、教学の研さんを続ける中で彼は見違えるように変わっていきました。
このほかにも、昨年の5月に入会した男子部のメンバーは、コロナ禍の中でも着実に信仰の確信を深め、今では地元のリーダーとして活
躍しています。
人と会う機会が減り、心に不安が広がる時代だからこそ、人間的なつながりが一段と求められているのだと感じます。
――カナダSGIでは、日常の学会活動に加えて、平和活動や社会貢献の取り組みにも力を入れていますね。
カナダにおいて、コロナ禍の影響による失業率は深刻で、経済的に困難な状態に陥った方が多くいます。そうした方を支えるNPO団体
への支援も行っています。
また、私たちはパンデミック(世界的大流行)の前から、核兵器廃絶を訴える展示会の開催や植林運動などを続けてきました。
2019年10月には、カナダSGIと核時代平和財団等が主催し、ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)等が後援して、第1回「カナダ青年
平和サミット」を行いました。戸田先生の「原水爆禁止宣言」や池田先生の「SGIの日」記念提言などを紹介し、創価学会の平和哲学を
カナダ社会に広げています。
“青年を大切に”を指針に励ましと人材育成に全力
――理事長には、忘れ得ぬ師弟の原点があると伺いました。
最初の原点は1981年、池田先生がカナダを訪問された際、車両の役員を務めたことです。
また87年、研修会の一員として日本を訪れた時には、池田先生が私たちを旧・聖教新聞本社の屋上に案内してくださいました。
その際、個人指導を受ける機会があり、先生から「青年を弟、妹のように大切にしながら育てていきなさい」との指針をいただきまし
た。
この時の誓いを胸に、カナダSGIとして青年部を全力で応援しようと決め、未来部や学生部の育成にも力を入れてきました。
未来部員の中には、コロナ禍で、友達と遊ぶ機会が減り、寂しい思いをしているメンバーもいます。そこで、オンラインでの会合では、
メンバーが一方的に話を聞くのではなく、話し合いを大切にしながら未来部員同士で仲良くなれるように工夫しています。オンラインを
通して友情を深めることができ、多くの喜びの声が寄せられています。
――これからの決意をお聞かせください。
池田先生がカナダの同志に贈ってくださった長編詩「ナイアガラにかかる虹」に、こうあります。
「あなたたちの舞台/カナダの天地には/世界の あらゆる民が集っている/ゆえに この国土の広布は/即 一閻浮提広布の証なりと/私は
信ずる」
感染症の拡大によって、世界には以前よりも経済格差や人々の分断が広がっていると感じます。
“あらゆる民”が集っているカナダに連帯を広げ、多様性と個性を発揮できる社会にしていくことが、私たちの使命だと思っています。
カナダSGIとして、2030年に向けて、青年部を先頭に一人一人への激励に全力を尽くし、2万人の陣列を築くべく前進していきます。