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中国・復旦大学 第10回池田思想シンポジウムへの池田先生のメッセージ

2018118

 

   教育交流こそ平和の確かな軌道

 

 53大学・機関から約160人の研究者らが参加した、

  第10回のシンポジウム。

   第1回から参加し続けてきた研究者の一人は

   「感無量です。これほどの規模に広がっていること自体が、

     池田先生の遠見を証明しています」と語った

                (10月27日、復旦大学で)

 

一、「日中平和友好条約」40周年の金の秋に、世界をけん引しゆく国際都市・上海で開催される意義深きシンポ

 ジウムに、最大の敬意を込めて、メッセージを送らせていただきます。

 この「国際学術シンポジウム」も、2005年の第1回より、今回で10回目となりました。

 目まぐるしく変化する国際情勢にも、不動の信念と透徹した知性、そして信義光る連帯を貫いて、未来を展望し、

 希望の潮流を起こしてこられた、ご列席の諸先生方に、私は満腔の感謝を捧げたいのであります。

 本シンポジウムでは、「人類運命共同体のビジョンと実践」をテーマに掲げられていると伺いました。

 気候変動や難民問題、核兵器の脅威など、地球規模の課題が深刻の度を増し、不信と分断が深まりつつある現代

 世界にあって、まさに核心を突いた命題でありましょう。

 私も、先生方の啓発に富む議論の場に連なる思いで、3点の所感を送らせていただきます。

 

「人が本位」

一、第一に「人類運命共同体の眼目は、人間教育の拡充にあり」ということであります。

 懐かしい復旦大学は、私も3度、訪問させていただいた栄光の名門学府です。

 この復旦大学の創立に奔走された清朝末の大文化人・于右任先生は、「中国文化の基本の重点は『人が本位』で

 ある」と喝破しておりました。そして、社会や世界を治めるには、まず自分を治めよ、自身を正せと叫ばれ、特

 に、人間の「利他」と「向上」こそ、中国が誇る王道の精神であると強調されたのであります(西出義心著『于

 右任傳 金銭糞土の如し』書道芸術社)。

 「人類運命共同体」の原点も、「人間」であり、「人づくり」でありましょう。人間教育の拡充にこそ、最も地

 道でありながら、人類平和への最も確かな軌道があるのではないでしょうか。

 私は、復旦大学の源流に秘められた、于右任先生と、その恩師・馬相伯先生の崇高な師弟の絆を思い起こすので

 あります。

 それは、馬先生が、自ら創立した「震旦学院」の学長を、外国勢力の不当な干渉で辞任した際のことです。馬先

 生から師恩を受けた于青年は学友たちと立ち上がり、やがて新しい学校を創立しました。そして「震旦学院」の

 名と祖国復興の願いを込め、校名を「復旦公学」として、馬先生を学長に迎えたのです。

 この師弟の歴史については、于右任先生のご親族である、高名な経済学者・劉遵義博士との対談集でも話題にな

 りました。劉博士は、于先生の「偉大な教育者である師匠を宣揚してみせる」との真情を示してくださり、私は

 深い共鳴を禁じ得ませんでした。

 わが創価大学の原点も、戦時中、日本の軍部政府と対峙して獄死した牧口常三郎先生の平和と人道の信念を受け

 継ぎ、その大学創立の悲願を何としても実現してみせるとの後継の戸田城聖先生と弟子の私との誓願であったか

 らであります。

 人間教育の真ん中には信頼の絆があります。向学の志を分かち合う師匠から弟子への薫陶、先達から後進への継

 承、友と友との触発は、新たな価値を創造しゆく、かけがえのない宝であります。この宝を、国を超え、民族を

 超え、文明さえも超えて、結び強めていけるのが、大学の力でありましょう。

 敬愛する復旦大学の学長であられた蘇歩青先生から、日本留学の思い出を伺ったことも、忘れ得ぬ思い出であり

 ます。

 この蘇先生が慈父の如く、いまだ歴史の浅い創価大学との学術・教育交流の道を広々と開いてくださったのであ

 ります。

 私は、そのお心をしのびつつ、復旦大学をはじめ、中国さらに世界の諸大学との人間教育の絆をいやまして強め、

 広げていきたいと願ってやみません。

 

画一化の克服を

一、第二に「人類運命共同体の大船は、世界市民の交流で進む」ということです。

 折しも、9月の国連総会での演説で、アントニオ・グテーレス事務総長は、「私たちは運命共同体です。私たち

 がともに運命に立ち向かわない限り、これを克服することはできません」とのアナン元事務総長の言葉を紹介し、

 国際社会に連帯を訴えられました。

 世界が急速につながりを深めながらも、社会の中ではあちこちに分断の亀裂が走っています。この残念な逆説を

 乗り越え、持続可能な社会を築くには、「人類益」の視点に立ち、直面する地球的問題群に共に挑む世界市民意

 識の醸成が不可欠でありましょう。

 中国で体系化された仏法哲学には、この世の全ての存在や出来事は分かちがたい関係性で結び付いており、その

 相互連関を通じて瞬間瞬間、世界は形づくられているとする考え方があります。つまり、私たちの生活も人生も、

 例外なく他者との関係性の上に成り立っており、その中で一人一人の幸福も築かれていくのです。

 そこからは、自分は自分、他人は他人という、利己的な考えは生まれてこない。この考え方によれば“自分だけ

 の幸福”も“自国だけの繁栄”も、本来あり得ません。

 現代中国を代表する文豪で文化相を務められた王蒙先生と私が、昨年、発刊した対談集『未来に贈る人生哲学』

 でも、この世界市民の共生の精神について語り合いました。

 王蒙先生は、清華大学の教授で、中国社会科学院の先覚者であられた費孝通先生(社会学研究所初代所長)の洞

 察を紹介してくださいました。

 「各美其美、美人之美、美美与共、天下大同」(自らの美を美とし、人の美を美とし、その美と美を共に認め合

 えば、世界は一つになるだろう)と。

 私たちが民主音楽協会や東京富士美術館を通して、文化大恩の国・中国をはじめ世界と文化交流を重ねてきた

 のも、まさしく、美と美を共に学び合い、人類の心を一つに結び合う願いからです。

 大乗仏教に「因陀羅網」の譬えが説かれています。すなわち、帝釈天の宮殿を荘厳している「因陀羅網」という

 網には無数の網目があり、その一つ一つに光り輝く宝石が結び付けられています。この宝石は互いに映し合うこ

 とによって、さらに新たな光彩を創造するのです。

 つまり因陀羅網にある一個一個の宝石は、単に“全体の一部”ではない。その一個があって、全体の調和と光彩は

 生まれている。だからこそ、一つ一つがかけがえのない存在であり、全体と変わらぬ重みを持っているのであり

 ます。

 網目にかかる宝石を、それぞれの国や民族が持つ精神文化であるとすれば、地球には、数多くの独自性を保つ文

 化・文明が互いに光を放っています。近代文明が内包していた世界の一様化、画一化の傾向を克服するためにも、

 今、必要なことは、これらの光を互いに尊び、生かし合いながら、豊かな創造性を高めていく作業ではないでし

 ょうか。

 

若き友こそ希望

一、第三に「人類運命共同体の柱は、青年の人間革命の連帯である」ということです。

 本年6月、私は、アルゼンチンの人権活動家であるエスキベル博士と共に、「世界の青年へ レジリエンス(困

 難を乗り越える力)と希望の存在たれ!」と題する共同声明を発表し、世界市民教育を通じた、青年のエンパワ

 ーメント(内発的な力の開花)の推進を呼び掛けました。

 振り返れば、私がお会いしてきた中国の偉大な指導者の方々は、周恩来総理と鄧穎超先生のご夫妻をはじめ、皆、

 自身の命を削っても、青年に尽くし、励まし、育てたいという、崇高な大情熱に燃えておられました。

 1980年の春、大文豪の巴金先生、謝冰心先生のご一行を、日本の静岡で中学生たちと一緒に熱烈歓迎した折

 の情景が蘇ります。

 巴金先生は語りかけました。「青年は人類の希望です。私たちが中日友好のために働いているのも、皆さんのた

 めです」と。

 人類がいかなる重大な試練に直面しようと、それに立ち向かう「青年の人間革命の連帯」がある限り、希望は失

 われません。

 50年前、私は「日中国交正常化提言」を発表しました。それは、中国と日本は、歴史的伝統、民族的親近性、

 地理的位置などから、まさに「運命共同体」に他ならないとの信念からでありました。

 私が提言を発表したのは、一万数千人の学生たちの前であります。その一人一人が、この提言の心に応え、それ

 ぞれの人生の歩みの中で、平和友好に誠実に尽くしてきてくれたことは、私の何よりの誇りであります。

 私は青年を信じます。今、先生方が心血を注がれている各教育・学術機関での信念の研究も薫育も、必ずや若き

 世界市民たちが受け継ぎゆくことを、私は信じ、また祈り抜いてまいります。

 友誼の心厚き先生方のますますのご健勝を切に願い、于右任先生が認められた清の思想家・顧炎武の言葉を分か

 ち合って、私のメッセージとさせていただきます。

 「今日では、この人々を災苦より救い、万世のために太平の世を開くことこそ、我われの任務である」(『于右任

 書展図録』于右任書展実行委員会)

 謝謝!(中国語で「ありがとうございました!」)(大拍手)

 

 

 

 

 

 

 


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