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〈グローバルウオッチ〉 共生の未来へ 多様性こそ力①

2018年10月12日

 

   異文化との出あいが活気と創造を生む。

 

 

      自治会会長の阿部準治さん(左から3人目)、

        同副会長の神谷誠さん(同4人目)らが和やかに

 

 

現代社会の課題と向き合う「グローバルウオッチ 共生の未来へ」。

愛知県豊橋市の県営岩田団地は、住民の半数以上が外国人である。

文化的背景の異なる外国人と生活する中で、学会員は人間の多様な差異をどのように捉え、価値を生み出している

のか。豊橋総県の友を取材した。

 

 16の棟に約600世帯が生活する県営岩田団地。

外国人住民の大半がブラジル人とフィリピン人で、日本語が分からない人も多いという。

だが自治会には外国人住民が積極的に関わり、県から多文化共生の表彰も受けている。

外国人住民がどのように自治会に参加しているのか――。自治会副会長の神谷誠さん(地区部長)に話を聞いた。

「最初は回覧板一つをとっても、外国人から“意味が分からない”と苦情がありました。でも、それは当然です。

日本語が理解できない人もいるし、お国には回覧板の文化はない。ゴミの仕分けも日本独自ですから」

岩田団地では、日本語・ポルトガル語・タガログ語の3カ国語表記を徹底している。

団地は5階建てで、階段を挟んで世帯が隣り合う。その階段ごとの10世帯が「組」となる。

各組では、組長がまとめ役を担うが、67ある組のうち、何と40組が外国人の組長である。

毎月の組長会議には、それぞれの通訳も加わり、率直な意見交換が行われている。

こうした話し合いに加え、外国人にとって大きな支えとなっているのが、何でも気軽に相談できる「集会所」の存

在だ。

午後7時から午後9時まで、団地の真ん中にある集会所に自治会役員が常駐し、生活上の悩みや相談を受け付ける。

「コレ、ナニデスカ?」

相談の大半は、読めない日本語。市や学校等の書類の読み書きに、時には通訳と共に対応する。電灯の故障や水漏

れ等も可能な範囲で対応するが、近年は外国人住民の手助けが大きな力となっている。

脚立を持ち運ぶ若い男性を見掛け、話を聞いた。

日系ブラジル人のクボ・ブルーノ・トキミさん。つかなくなった電灯を直しにいくという。

14年前、5歳の時に、一家で日本に移住した。外国人労働者は非正規雇用が多く、不況の影響を受けやすい。

リーマン・ショックの直後は大勢のブラジル人が失職し、クボさんの親友も帰国を余儀なくされた。

以前はやんちゃな行動に走った時期もあったが、今は通訳としても団地に献身している。

 

決め付けない

 団地に外国人住民が増えたのは、1990年の“新・入管法”の施行後。急増する外国人に不安を募らせる日本人

住民もいた。

外国人との橋渡し役を買って出る神谷さんは、「日本人のくせに、なんで外人の肩を持つんだ?」と聞かれたこと

がある。

即座に答えた。「日本人も外国人も関係ありません。日本人にもルールを守らない人はいるし、ほとんどの外国人

はルールを一生懸命に守ろうとしています。決め付けはやめましょう」

韓国に赴任したことがある神谷さん。そこで経験した文化・習慣の違いもあるが、「自分の周囲が仲良く暮らせる

ことが世界平和の第一歩」と話す。

以前、詐欺に遭って多額の負債を抱えた。自暴自棄になりかけた神谷さんを、学会の先輩が付きっきりで励まして

くれた。

「もう立ち直れないと思ったのですが、3日後には立ち直っていました(笑い)」と神谷さん。励ましの力を信じ、

将来を不安視する住民に寄り添う。

外国人が増加する一方で日本人住民の高齢化が進む。神谷さんは、自治会の役員らと“おせっかいクラブ”を立ち上

げた。

「“朝は、元気な証拠に、このカーテンを開けてね”と、何かあった時に上がり込める間柄になれるよう心掛けてい

ます」

その習慣が功を奏し、高齢者が救助されたこともあった。

現在、学会員の組長は4人。

自治会副会長だった加藤かほるさん(支部副婦人部長)は、古橋典子さん(支部婦人部長)らと高齢者の憩いの場

「ほっとサロン」の設立に尽力。老人会会長の村田光男さん(壮年部員)をはじめ、皆が地域に貢献する。

自治会会長の阿部準治さんが目を細めた。

「見ての通り、半数以上が外国人の団地で、学会の皆さんが団地内をぐるぐる回って、面倒見よく接してくれてい

ます」

2年前に会友として教学部任用試験を受験し、合格した阿部さん。学会員の活動に深く信頼を寄せている。

 

可能性の扉

 本年6月に閣議決定した“骨太方針”では、少子高齢化を日本経済の最大課題と位置付け、労働力を補うために外

国人労働者の受け入れ拡大が示された。

新たな在留資格の創設など準備が進むが、昨年発表の外国人住民調査報告書(法務省)では、入居や就職等で外国

人差別が浮き彫りとなり、偏見のない社会の構築が課題となっている。

日本国際交流センター執行理事の毛受敏浩氏は、外国人を受け入れる日本人側の心得として「最も重要なのは対等

性」「相手を一人の人間として見るという基本的なマナーが求められる」(『限界国家』朝日新書)と指摘する)。

最近はコンビニエンスストアなどで働く外国人を目にする機会も多い。そうした外国人を単なる「労働力」ひいて

は他人と見るのか。それとも地域を共に担う「一人の人間」と見るのか。日本人の意識が問われている。

豊橋市の語学学校で日本語を教える井上明日美さん(副白ゆり長)。3歳から80歳まで、幅広い世代のブラジル

人が学び、岩田団地から通う生徒もいる。

最も多い世代は20~30代。日本語が上達すれば、仕事の幅が広がる。収入が増え、家族に楽をさせられるとい

う。

授業中、生徒が不安を漏らすことがある。例えば「日本の自然は美しいと思いますか?」と聞いた時、「きれいだ

と思うけど、人は冷たい……」と。

何度も顔を合わせるうちに、“実は日本人の学校でいじめられて”“工場で人間扱いされなかった”と本音を明かす。

“欧米人は皆に受け入れてもらえるのに、どうして私は嫌われるの?”と口にする生徒もいた。

井上さんは親身に寄り添い、自らブラジル人のコミュニティーに飛び込んだ。

以前、アメリカやオーストラリアへの留学は強く勧めてくれた親友が、“ブラジル人に教えるのは危険だからやめ

た方がいい”と忠告してきた。理由を聞くと“入れ墨を入れている”“デカセギでお金がないから罪を犯す”と。

それでも交流を続けると、冷酷な視線や態度を示すように。

だが数年が経過したある日、その親友がふと言った。

「ブラジル人と話している時、明日美は一番いい笑顔をしているね」「私も外国人の友だちをつくってみようかな」

その一言に井上さんは、外国人との触れ合いが自身の人生をも豊かにしていると感じた。

「違う文化の人との交流の扉を開けたら、人生はとても面白くなるかもしれない。その扉を開く人、開きたいと思

わせてくれる人が増えれば、それが国際化への第一歩かもしれません」

縁する全ての人に希望を送れる一日でありたい――そんな祈りを込め、井上さんは笑顔いっぱいの日々を過ごす。

 

摩擦の先に

 かつて、ブトロス・ガリ元国連事務総長が池田大作先生との会談で次のように語った。

「『国際的な問題』に取り組まなければ『国内の問題』も解決できない――そういう時代なのです。(中略)しか

し実際は、多くの人々が、心の底の本音では、国際化の潮流に直面して『不安』を感じているのです。その不安感

から、自分たちの小さな“村(地域国家)”や“伝統”の中へ引きこもり、外国人とつき合おうとしない傾向が出てき

ている」

この指摘は今の日本にも通じよう。いざ自らが「国際化」に直面した時、他者や異文化に、どのような態度をとる

のか。

池田先生は「『国際化(グローバル化)』とは『大国化』のことではない。『人間化』のことである。人間化とは、

人の気持ちに敏感になることだ」と強調する。

共生は容易ではない。当然、摩擦も起きるかもしれない。だが摩擦を恐れなければ、異なる文化が出あい、そこに

活気と創造が生まれていく。人間と人間の距離が近い「地域社会」にあっては、その「多文化パワー」(毛受氏)

が大きな力を発揮する。

“同じ人間”としてあらゆる差異を認め、相手を尊重する。その心の広がりが、共生の社会を築く源となる。

 

 

 

 

 

 

 

 


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