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ロシア美術の最高峰がここに 「絵画の至宝展」の見どころを紹介

2018106

 

   ロシア美術の最高峰がここに

 

                 イリヤ・レーピン「サトコ」1876年 

                   油彩/カンヴァス 

                     国立ロシア美術館蔵

 

 明日7日から一般公開される「ロシア絵画の至宝展」。ここでは、同展の見

どころを紹介する。

19世紀後半から20世紀初頭、ロシアは大変動期にあった。1861年の農

奴解放令で近代化へと舵を切った政府も、各地で起こる自由主義勢力を抑えよ

うと専制政治を敷く。その後も第1次世界大戦やロシア革命などで、社会はさ

らに混乱の様相を呈していく。

そのような状況下、トルストイら作家をはじめ、ムソルグスキーといった音楽家、そして今回の主役である画家た

ちは、民衆や祖国を意識しながら、社会の真実の姿を探求していった。

美術界では、「移動派」と呼ばれるグループが1870年に結成。旧態依然とした美術アカデミーに対抗して、専

制政治の過酷な環境の中でもたくましく生きる人々の姿を力強く描いた。その中で、多くの画家たちも、抽象的な

理想の世界ではなく、現実の人間の姿と世界に目を向けるようになっていく。

   ◆◇◆

 ロシアを代表する画家といえば、レーピンである。彼は、社会への強いメッセージを込めた作品を数多く残した。

本展で展示される代表作「サトコ」は、ロシアに伝わる叙事詩「ビィリーナ」の一場面を描いたもの。パリ留学中

の作品であり、フランス絵画の影響を受けながらも、独自の筆致で幻想的な世界を表現している。

”水中の国”を訪れた商人のサトコ(絵の右の黒い服を着た男性)が、他国の女性たちの美や富の誘惑にあらがう姿

が描かれている。これは、作者自身のロシアへの愛国心や思い出が具現化されているといわれている。またサトコ

の見つめる先には、彼が花嫁として選ぶロシア人の娘チェルナヴァの姿を見つけることができる。

◆◇◆

風景画家として名高いシーシキンは、まるで写真のように正確に、森林を描くことで知られる。

ロシアの風景画には、自然に対する画家自身の感情や葛藤といった内面的なものが表現されている。シーシキンの

作品からは、植物を熱心に観察するという側面だけでなく、詩的に、また叙情的に雄大な自然を描こうとする作者

自身の愛を感じることができる。

本展では、このシーシキンの作品3点を公開する。そのうち「森の細道」は、威厳をたたえてそびえる木々の中に、

どこか開放性を感じさせる。自然の美しさとともに、森の恩恵を受けて暮らす人間の営みが慈愛を持って描かれて

いる。

また、シーシキンの作品とともに、風景画家であるワシーリエフが描いた「雪解け」も展示する。

画面の奥へと延びる轍のついた道。その道は、雪解け水で寸断されており、そのぬかるんだ道で老人と子供が立ち

止まっている。

「道」という題材は、”人生という旅”に結びつけて考えられる。社会システムが大きく変わるロシアにあって、不

安と希望を抱いていた人々の心象風景を、道をモチーフに見事に浮かび上がらせた。

   ◆◇◆

このほか、ロシア絵画には、庶民の生活などに目を向けたものも多い。19世紀の中ごろから、歴史や宗教などを

扱った固い歴史画よりも、民衆に根差した風俗画や身近にある風景画がよく描かれれうようになったのである。

ペトロフの「花嫁のお披露目」は、花嫁を新郎の親戚に披露するという伝統儀式を描いた風俗画。衣服や食事など、

当時のロシアの農民の生活が、臨場感を持って伝わってくる。

ロシアの文豪ドストエフスキーは、同時代の風俗画をこう評した。

「そこにあるのは、ほとんどすべて真実である。真の才能にのみ与えられる芸術的真実である」

社会の不条理や、激変の時代にあっても懸命に生き抜く人間の偉大さなどを描き出しながら、その先にある理想の

姿を追い求めたロシア美術。”至宝展”は、その精神性に触れる絶好の機会となろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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