• ただいま、Word Press 猛烈習熟訓練中!!
Pocket

誓願 百三十六

 十二月七日、山本伸一は、香港中文大学からの学位授与式に臨み、同大学で日本人初

となる名誉社会科学博士号を受けた。彼は、一九九二年(平成四年)には同校の「最高

客員教授」となっており、その時、「中国的人間主義の伝統」と題して講演も行っている。

八日、伸一は帰国の途に就いた。香港から向かったのは、常勝の都・関西であった。彼

が会長に就任して、真っ先に訪れたのが大阪である。二十世紀の地方指導の最後も大阪

で締めくくり、一緒に二十一世紀への新しい扉を開きたかったのだ。皆、伸一と苦楽を

共にし、不屈の魂を分かち合う同志である。

常勝の友の顔は、生き生きと輝いていた。

十日、伸一は関西代表者会議に出席した。

いよいよ「女性の世紀」であり、「関西が、その模範に!」と期待を寄せ、「壮年部は

男子部と一体になり、婦人部は女子部と一体になって、青年を守り、愛し、励まし、育

てていっていただきたい」と呼びかけた。

十四日には、二十一世紀への旅立ちとなる本部幹部会が、関西代表幹部会、関西女性総

会の意義を込めて、大阪・豊中市の関西戸田記念講堂で開催された。

「明二〇〇一年(同十三年)から、二〇五〇年へ、いよいよ『第二の七つの鐘』がスタ

ートします!」
 伸一は、新しい「七つの鐘」の構想に言及し、民衆のスクラムで、二十一世紀を断じ

て「人道と平和の世紀」にと呼びかけた。

また、世界で、女性リーダーの活躍が目覚ましいことを紹介した。

「今、時代は、音をたてて変わっている。社会でも、団体でも、これからは女性を尊重

し、女性を大切にしたところが栄えていく。

大聖人は『女子は門をひら(開)く』(御書一五六六ページ)と仰せです。広宣流布の

永遠の前進にあって、『福徳の門』を開き、『希望の門』を開き、『常勝の門』を開く

のは、女性です。なかんずく女子部です」

麗しき婦女一体の対話の拡大、励ましの拡大は、二十一世紀の新たな力となった。

 

 

誓願 百三十七

 二〇〇一年(平成十三年)「新世紀 完勝の年」が晴れやかに明けた。「希望の二十一

世紀」の、そして、「第三の千年」の門出である。山本伸一は「聖教新聞」の新年号に和

歌を寄せた。

 「新世紀 新たな舞台は 世界かな

    胸の炎の 決意も新たに」

一月二日、彼は、七十三歳の誕生日を迎えた。伸一が七十代のテーマとしていたのは、

「世界広布の基盤完成」であった。

五月三日、アメリカ創価大学オレンジ郡キャンパスが、待望の開学式を迎えた。人類の平

和を担う、新しき世界市民を育む学舎が誕生したのだ。学長に就任したのは、創価高校・

創価大学一期生の矢吹好成であった。

伸一は、万感の思いをメッセージに託し、「『文化主義』の地域の指導者育成」「『人間

主義』の社会の指導者育成」「『平和主義』の世界の指導者育成」「自然と人間の共生の

指導者育成」を「指針」として示した。

九月十一日のことであった。アメリカで、四機の旅客機がハイジャックされ、そのうちの

二機はニューヨークの世界貿易センタービルに、別の一機は国防総省に突っ込むという事

件が起こった。「アメリカ同時多発テロ事件」である。

死亡者は約三千人、負傷者も六千人を超える悲惨な事態となった。アメリカ政府は、イス

ラム過激派の犯行と断定し、「テロとの戦い」を宣言。首謀者らが潜伏していると見られ

るアフガニスタンへの軍事攻撃を開始した。また、その後、ヨーロッパなどで、自爆テロ

が頻発していくことになる。

どのような大義を掲げようと人びとの命を奪うテロは、絶対に許されるものではない。

このテロ事件では、アメリカSGIも直ちに緊急対策本部を設置し、救援活動の応援、義

援金の寄託など、できうる限りのことを行った。また、宗教間対話にも積極的に取り組ん

でいった。平和、戦争反対、暴力をなくす――これは教義を超えた人間の共通の道であり、

宗教は、本来、そのためにこそあるのだ。

 

 

誓願 百三十八

山本伸一は、同時多発テロ事件後、各国の識者との会見でも、また日本の新聞各社のインタビュー

などでも、今こそ、平和と対話への大世論を起こすべきであると強調した。

翌年の1・26「SGIの日」記念提言でも、「文明間対話」が二十一世紀の人類の要石となると

述べるとともに、国連を中心としたテロ対策の体制づくりをと訴えた。また、テロをなくす方策と

して、「人間の安全保障」の観点から、人権、貧困、軍縮の問題解決へ、世界が一致して取り組む

必要性を提起した。

彼は、世界の同志が草の根のスクラムを組み、新しい平和の大潮流を起こす時がきていることを感

じていた。もとより、平和の道は“険路”である。恒久平和は、人類の悲願にして、未だ果たし得て

いない至難のテーマである。なればこそ、創価学会が出現したのだ! なればこそ、人間革命を可

能にする仏法があるのだ! 対話をもって、友情と信義の民衆の大連帯を築くのだ!

また、人類の平和を創造しゆく道は、長期的、抜本的な対策としては正しい価値観、正しい生命観

を教える教育以外にない。めざすべきは「生命尊厳の世紀」であり、「人間教育の世紀」である。

二〇〇一年(平成十三年)十一月十二日、11・18「創価学会創立記念日」を祝賀する本部幹部

会が、東京戸田記念講堂で晴れやかに開催された。新世紀第一回の関西総会・北海道栄光総会、男

子部・女子部結成五十周年記念幹部会の意義を込めての集いであった。

伸一は、スピーチのなかで、皆の労を心からねぎらい、「『断じて負けまいと一念を定め、雄々し

く進め!』『人生、何があろうと“信心”で進め!』――これが仏法者の魂です」と力説した。

そして、青年たちに、後継のバトンを託す思いで語った。

「広宣流布の前進にあっても、“本物の弟子”がいるかどうかが問題なんです!」

広宣流布という大偉業は、一代で成し遂げることはできない。師から弟子へ、そのまた弟子へと続

く継承があってこそ成就される。

 

 

誓願 百三十九

 山本伸一の厳とした声が響いた。

「私は、戸田先生が『水滸会』の会合の折、こう言われたことが忘れられない。

『中核の青年がいれば、いな、一人の本物の弟子がいれば、広宣流布は断じてできる』

その『一人』とは誰であったか。誰が戸田先生の教えのごとく、命がけで世界にこの仏法

を弘めてきたか――私は“その一人こそ、自分であった”との誇りと自負をもっています。

どうか、青年部の諸君は、峻厳なる『創価の三代の師弟の魂』を、断じて受け継いでいっ

てもらいたい。その人こそ、『最終の勝利者』です。また、それこそが、創価学会が二十

一世紀を勝ち抜いていく『根本の道』であり、広宣流布の大誓願を果たす道であり、世界

平和創造の大道なんです。

頼んだよ! 男子部、女子部、学生部! そして、世界中の青年の皆さん!」

「はい!」という、若々しい声が講堂にこだました。

会場の後方には、初代会長・牧口常三郎と第二代会長・戸田城聖の肖像画が掲げられてい

た。二人が、微笑み、頷き、慈眼の光で包みながら、青年たちを、そして、同志を見守っ

てくれているように、伸一には思えた。

彼は、胸の中で、青年たちに語りかけた。

“さあ、共に出発しよう! 命ある限り戦おう! 第二の「七つの鐘」を高らかに打ち鳴ら

しながら、威風堂々と進むのだ”

彼の眼に、「第三の千年」の旭日を浴びて、澎湃と、世界の大空へ飛翔しゆく、創価の凜々

しき若鷲たちの勇姿が広がった。

それは、広宣流布の大誓願に生き抜く、地涌の菩薩の大陣列であった。

 


  (小説『新・人間革命』全三十巻完結)

    二〇一八年(平成三十年)八月六日

          長野研修道場にて脱稿
  
 創価の先師・牧口常三郎先生、

 恩師・戸田城聖先生、

 そして、尊き仏使にして「宝友」たる

 全世界のわが同志に捧ぐ    池田大作

 

 

 

 

 

 

 

 

 


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください