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誓願 百十一

 「創価家族の集い」では、「シ・バス・パラ・チレ」(もしもチリへ行くのなら)を大

合唱した。山本伸一も一緒に手拍子を打った。

  
 〽この地の人びとは皆

  旅人よ あなたを迎えてくれます

  チリでは ほかの地から来た人が

  どれほど好きか

  あなたは おわかりになるでしょう

  
メンバーは、喜びを満面にたたえ、「世界広布模範」の前進を誓い、熱唱した。

この日、チリの新しき原点が創られた。

二十五日正午、伸一は、大統領府(モネダ宮殿)に、パトリシオ・エイルウィン・アソカ

ル大統領を表敬訪問した。

大統領とは、前年十一月の来日の折に会見していた。

その時、民衆に奉仕するリーダー像、劇的なチリ民主化、環太平洋時代を開く両国の文化

交流などをめぐって語らいが弾み、十五分とされていた会見時間は、約四十五分になった。

別れ際、大統領は言った。

「決してこれが、最初で最後の出会いにならないことを望みます。この次は、ぜひ、わが

国で、大統領府でお願いしたい」

その時の約束が実現したのである。

大統領は、東京での会見のあと、伸一とトインビー博士との対談集『生への選択』(日本

語版『二十一世紀への対話』)を、すべて読了したことを告げ、再会を喜んでくれた。

語らいでは、文化の力、環境問題などが話題となった。また、伸一は、桂冠詩人として、

大統領に長編詩「アンデスの民主の偉容」を贈った。そこには、こうあった。

 「武力に勝る『道理』の力!

 剣の力にも勝る『精神』の力!

 心なき悪しき力は

 たとえ猛威を奮おうと

 所詮 それは一時の幻の勝利

 『道理』の力 『精神』の力こそが

 やがては 納得と歓喜のうちに

 民衆の大地を 広く潤す」

 

 

誓願 百十二

 エイルウィン大統領は任期を終えて四カ月後の一九九四年(平成六年)七月、夫妻で日本

を訪問し、その折には、創価大学で記念講演を行った。山本伸一とは、通算、三回にわたっ

て会談し、これらの語らいなどをもとに、九七年(同九年)十月、対談集『太平洋の旭日』

が発刊されたのである。この年は、「日本・チリ修好通商航海条約」が締結されてから、百

周年の佳節にあたっていた。

二月二十五日夜、伸一は、チリから、ブラジルのサンパウロに到着した。

滞在中、ブラジルSGI自然文化センターに、世界三十二カ国・地域の代表が集った、第十

六回SGI総会に出席した。

総会では、学会員こそ「前人未到の一閻浮提広宣流布の開拓者である」「大聖人直結の誇り

を永遠に胸中に燃やしてまいりたい」と呼びかけた。そして、一人ひとりが人間として最大

に輝き、その人間の光で家庭を、地域を、社会を照らし、人間と人間の友情を幾重にも結び

広げていくSGIの人間主義の大道を、にぎやかに愉快に進もうと訴えた。

さらに、三月八日にはアメリカのマイアミへ移動し、ここでは研修会等に出席。その後、サ

ンフランシスコで、科学者のライナス・ポーリング博士と四度目の会談を行ったほか、メン

バーとの懇談・指導を続け、三月二十一日に帰国したのである。

伸一は、五月には、フィリピン、香港を訪問。九月から十月には、アメリカ、カナダを回り、

アメリカではハーバード大学に招かれ、「二十一世紀文明と大乗仏教」と題して、同大学で

二度目の講演を行っている。

翌九四年(同六年)は、一月から二月にかけて、香港、中国の深圳、タイへ。五月半ばから

は、三十数日をかけて、ロシア、ヨーロッパを歴訪した。一日一日が、一瞬一瞬が、世界広

布の基盤を創り上げる建設作業であった。

動くべき時に動かず、やるべき時にやらねば、未来永劫に悔いを残す。伸一にとっては、“今”

が“すべて”であった。

 

 

誓願 百十三

「栄光・躍進の年」と定めた一九九五年(平成七年)の元日、山本伸一は、創価学会本部

での新年勤行会でスタートを切った。

一月十五日「成人の日」、伸一は婦人部と新宿区の代表との協議会を開き、二十一世紀を担

うリーダー像について語った。

「これから求められるリーダーの要件とは何か。それは、一言すれば、『誠実』に尽きます。

決して威張らず、友に尽くしていくことです。正直さ、優しさ、責任感、信念、庶民性――

そうした『人間性』を、皆は求めている。ゆえに、自分を飾る必要はない。自分らしく、信

心を根本に、人間として成長していくことが大事なんです」

伸一は、未来のために、平易な言葉で、リーダーの在り方を語り残しておきたかった。

「仏法は、人を救うためにある。人を救うのは観念論ではなく、具体的な『知恵』であり、

『行動』です。私どもの立場でいえば、以信代慧であり、信心によって仏の智慧が得られる。

したがって、何ごとも『まず祈る』ことです。また、結果が出るまで『祈り続ける』ことで

す。『行動を続ける』ことです。

釈尊も、日蓮大聖人も『行動の人』であられた。私どもも、そうでありたい」

その二日後の未明、十七日午前五時四十六分ごろ、近畿地方を大地震が襲った。高速道路や

ビル、家屋の倒壊、火災等の被害は、神戸、淡路島など、兵庫県南部を中心に、大阪、京都

にまで広がり、死者約六千四百人、負傷者約四万四千人という大災害となった。阪神・淡路

大震災である。

伸一は、その報に接するや、即座に総力をあげて救援活動を進めるよう手を打った。

彼は、ハワイにある環太平洋地域を代表する学術機関の「東西センター」を訪問し、講演す

ることになっていたが、出発を延期し、できることはすべてやろうと対応に努めた。

直ちに、学会本部と関西に災害対策本部が設置された。伸一は、最高幹部と協議を重ね、対

策会議にも出席した。

 

 

誓願 百十四

 阪神・淡路大震災の被災地では、各会館が一時的な緊急避難所となり、また、生活物資

供給のための救援センターとなった。

高速道路は倒壊し、建物の崩壊などから一般道の寸断も多く、どこも、どの道も、大渋滞

していた。直ちにバイク隊が編成され、瓦礫の残る道を走り、救援物資が被災各地に届け

られていった。

山本伸一は、愛する家族や、住み慣れた家、職場を失った人たちのことを思うと、身を切

られるように辛かった。自ら、すぐに被災地に飛び、皆を励ましたかったが、「東西セン

ター」での講演の日が迫っていた。彼は、被災地へ向かう、会長の秋月英介や婦人部長、

青年部長らに言った。

「私に代わって、全生命を注ぐ思いで、皆さんを励ましてほしい。信心をしていたご家族

を亡くされた人もいるでしょう。そうした方々には、こう伝えてください。

――すべては壊れても、生命に積んだ福徳は、永遠に壊されることはありません。一遍で

も題目を唱えたならば、成仏できるのが大聖人の仏法です。亡くなられた同志は、今世で

宿命を転換し、来世も御本尊のもとに生まれ、幸せになれることは間違いありません。

また、『変毒為薬』とあるように、信心によって、毒を変じて薬にすることができる。

大聖人は『大悪を(起)これば大善きたる』(御書一三〇〇ページ)と仰せです。

今は、どんなに苦しくとも、必ず幸せになれることを確信してください。いや、必ずなっ

てください。強い心で、強い生命で、見事に再起されるよう祈り待っています」

秋月らは、二十四日には、被災地を訪れ、激励に回っている。伸一は、その翌日の夜、

日本を発ち、ハワイのホノルルへ向かった。

二十六日に、ハワイ大学マノア校を訪問したあと、同大学に隣接する「東西センター」を

訪れた。

ここで、国連創設五十周年を記念し、「平和と人間のための安全保障」と題して講演した

のである。

 

 

誓願 百十五

記念講演で山本伸一は提起した。

――これまで安全保障といえば、機構、制度の問題として論じられがちであった。しかし、

社会及び国家の外的条件を整えることのみに走り、人間自身の変革という根本の一点を避

けてしまえば、平和への努力のはずが、かえって逆効果になってしまう場合さえあるとい

うのが、二十世紀の教訓ではないか――と。

そして、人間革命から社会の変革を志向すべきであるとし、そのためにも、「知識から智

慧へ」「一様性から多様性へ」「国家主権から人間主権へ」、人類的な発想の転換が不可

欠であることを訴えたのである。

この会場で伸一は、ハーバード大学のジョン・モンゴメリー博士、ハワイ大学名誉教授の

グレン・ペイジ博士、平和学の創始者ヨハン・ガルトゥング博士らと再会している。

ハワイで彼は、国連創設五十周年を記念する第十三回世界青年平和文化祭や、SGI環太

平洋文化・平和会議などに臨み、二月二日に、その足で関西入りした。

関西では、阪神・淡路大震災の東京・関西合同対策会議や追善勤行法要等に出席し、激励

に全力を尽くした。法要で伸一は訴えた。

「関西の一日も早い復興を祈っています。全世界が、皆様の行動を見守っています。

『世界の模範』の関西として、勇んで立っていただきたい。亡くなられた方々も、すぐに

常勝の陣列に戻ってこられる。

御書には『滞り無く上上品の寂光の往生を遂げ須臾の間に九界生死の夢の中に還り来って』

(五七四ページ)と仰せです。最高の寂光世界(仏界)への往生を遂げ、死後も、すぐに

九界のこの世界へと生まれてこられる。そして、また広宣流布に活躍されるんです。

私どもは、亡くなられた方々の分まで、明るく、希望をもって、高らかに妙法を唱えなが

ら進んでまいりたい。それが即、生死不二で、兵庫の国土に、関西の大地に、今再びの大

福運の威光勢力を増していくからです。

被災地のすべての方々に、くれぐれも、またくれぐれも、よろしくお伝えください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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