2018年3月19日
デューイ研究の第一人者であるジム・ガリソン博士と。
人間の可能性を開く教育について語り合った
(2008年8月、長野研修道場で)
一、それは私が23歳、卒業生の皆さんと同じ年代の春であり
ました。
人生の師匠と定めた戸田城聖先生と、最も厳しい事業の苦境
を勝ち越えた私は、日記に大好きなホイットマンの詩を書き
とどめました。
その詩の主題は――英雄の名声も、将軍の勝利も、大統領の権勢も、自分はうらやましいとは思わない。しかし
固い友愛で結ばれた人々が、苦難にも中傷にも怯まず、一生を通じて、いかに勇敢に、思いやり深く、そして、
いかに誠実に共に生き抜いたか。その人間の絆を、何よりもうらやましく思う、というものです。
私の誇りは、この金剛不壊の師弟の絆を貫き通してきたことです。
私の喜びは、この友情と信頼を世界中の知性と結び得たことです。
そして私の希望は、この世界市民の平和の連帯を、わが創価同窓の俊英たち、才媛たちが受け継いでくれること
なのであります。
愛する創大44期生の皆さん! 短大32期生の皆さん! 大学院の皆さん! また通信教育部の皆さん!
さらに留学生の皆さん! 晴れの卒業、誠におめでとう!
本日は、海外から私の宝の友人の先生方が、わが命たる卒業生の祝福に駆け付けてくださいました。これほどあ
りがたいことはありません。深く温かき交流を結んでくださっているご来賓の先生方に、ここで改めて感謝の大
拍手を送りたいと思いますが、いかがでしょうか!(大拍手)
グローバル社会の颯爽たる旗手に
一、卒業生の皆さん方へのはなむけとして、我らが高らかに掲げゆく「創価」の三本の旗を、きょうは確認し合い
たいと思います。
第一に、「まことの教養光る世界市民の旗を」と申し上げたい。
今回、国際教養学部からは栄光の第1期生が羽ばたいていきます。この清新な息吹とともに、創大も短大も、今
年の卒業生は皆が、グローバル社会の颯爽たる旗手と育って、新しい世界への道、未来への道を大きく開いてく
れています。本当にありがとう!
建学の精神をわが心として、全力で薫陶に当たってくださっている先生方、職員の方々にも、創立者として、厚
く御礼を申し上げます。
まことの「教養」とは何か。敬愛してやまないガリソン博士と私は、それは「より人間らしく生きていくための
基本的な力」である、と語り合いました。
すなわち、膨大な知識や情報や技術を、民衆の幸福と世界の平和のために使い、生かしながら、自在に価値を創
造していく「知恵」と言い換えてもよいでありましょう。
とりわけ、人類史に輝く大教育者デューイ博士と、創価教育の創始者・牧口常三郎先生が共に重視されたのが、
差異や分断を超えて、人間同士の正しい結び付きと調和、そして一体感を育む教育でありました。
私が皆さんに自信を持ってもらいたいのは、民衆の大地に根差し、世界に開かれた創価のキャンパスに学んだ若
き生命には、真の教養力というダイヤモンドが、まぎれもなく結晶しているということであります。
このダイヤの輝きを増す最も基本の一歩があります。それは何か? 親孝行です。その意味において、皆さんが
授与される誉れの学位記を、尽きせぬ感謝と、報恩の決意を込めて、後ほど、お父さん、お母さん方に捧げてい
ただきたいと思うが、皆、賛同してくれるだろうか!(大拍手)
烈風を恐れるな! 逆境に屈するな!
一、第二に、「烈風を恐れぬ堅忍不抜の旗を」と呼び掛けたい。
中国近代文学の父・魯迅先生も、現代中国文学の母・謝冰心先生も、逆境の烈風に断じて屈しませんでした。
昨年、日本で自筆原稿が確認された、謝冰心先生の22歳の作品には記されています。「浪のしぶきが大きくな
るにつれて、屹立した磐石(※編集部注=大いなる巌)が黙って身をささえる、その楽しみもますます大きくな
る」(倉石武四郎訳『お冬さん』河出書房。現代表記に改めた)と。
「さあ、何でも来い!」と一念を定めた青春の魂は、試練の中で、生命の器を大きく広げ、やがて偉大な民衆へ
の貢献を果たせるのであります。
皆さんが見つめてきた富士山も、山頂は常に烈風との戦いです。しかし、平然と堂々と王者の如くそびえ立って
いるではありませんか!
どうか、この富士の雄姿を心に置いて、良き友と励まし合い、毀誉褒貶の風を悠然と見下ろす、朗らかな賢者の
人生であってください。
「人間革命」こそ人類の希望の道
一、第三に、「地球を照らす人間革命の栄光の旗を」と申し上げたい。
かのデューイ博士は「人間性は変わるか」との問いを立て、「人間性はたしかに変わる」(杉浦宏・田浦武雄編
訳『人間の問題』明治図書)と、人類への希望の結論を残されました。
人間は自らを、よりよく変えられる。学び、成長し続けることができる。そして一人一人が、たゆまず人間革命
していくことによって、漸進的かつ平和裡に社会を変え、国土を変え、ついには人類の宿命さえも変えることが
できる――これが、わが師から託された信条であります。
わが卒業生は、この人間革命という生命の軌道を日々、はつらつと進み抜いてください。そして自らが立つ使命
の天地から、自分らしく忍耐強く、地球文明の未来を照らしていっていただきたいのであります。
私が創立した大学に集い合ってこられた、かけがえのない一人一人のことを、私は一生涯、決して忘れません。
永遠に、皆さんとご一家の健康と勝利と栄光を祈り、見守ってまいります。
終わりに――
創価とは
無限の希望の
創造と
誓いの舞台で
舞い征け 勝ち抜け
と贈り、私のメッセージといたします。どうか、お元気で!(大拍手)