2018年1月9日
『伝教大師云く「浅きは易く深きは難しとは釈迦の所判なり浅きを去つて深きに就く
は丈夫の心なり、天台大師は釈迦に信順し法華宗を助けて震旦(しんたん)に敷揚
(ふよう)し・叡山の一家は天台に相承し法華宗を助けて日本に弘通す」等云云、
安州の日蓮は恐くは三師に相承し法華宗を助けて末法に流通三に一を加えて三国四師
と号(なづ)く』
○背景と大意
文永10年(1273年)5月11日、日蓮大聖人52歳の御時、門下一同に与えられた
御書です。
本抄は佐渡で著され、「仏の未来記を顕す」との題号の通り、釈尊の未来記をいつ、誰が
どのように実現するかを明らかにされた御書です。
「仏の未来記」とは一応は釈尊の未来記を指しますが、本抄の元意は、”末法の御本仏とし
ての大聖人の未来記”を明かされています。
大聖人は、仏説通りに法華経を弘通し、難を受けているのは大聖人以外になく、末法で唯
一の法華経の行者であると断言され、必ず日本から大聖人の仏法が世界に広まることを述
べられています。
最後に、「六難九易」(ろくなんくい)を体得されたことを明かされます。
1月度座談会御書の学習範囲は、顕仏未来記の最後の御文になります。
「浅い教えは理解しやすいが、深い教えは信じ難く、理解しがたいとは釈迦の教えである。
浅い教えを去って深い教えにつくのが勇者である。
天台大師は法華経を中国に顕揚(けんよう)し、比叡山は天台を引き継いで日本に弘通す
るのである」と伝教大師は法華秀句(ほっけしゅうく)を例に述べている。
安房の国(千葉県)の日蓮は、釈迦・天台・伝教の三師を継いで末法に流通している。
それゆえ、三に一を加えて三国四師(さんごくしし)と名付けるのである」
(以上、学習範囲の趣意)
池田先生は巻頭言に次の内容を記されています。
「仏法の日本流伝より700年にして、御本仏(大聖人)が出現され、さらに700年を
経て創価学会が誕生した。実に壮大にして不思議なるリズムと言ってよい」
「我らはこの一年を「栄光の年」と定めた。「栄光」はどんな逆境でも、太陽のように一
日また一日、たゆまず前進し抜く生命に輝きわたる」
「末法一万年の果てまで、大法弘通を託されている学会です」
「栄光の歴史を、共々に飾り綴ろうではないか!」
創価学会はこの未来記の通り、世界192か国地域に拡がる世界宗教になりました。
2018年は広宣流布大誓堂完成5周年であり、3・16祈念式典から60周年、日中国交
正常化提言発表から50周年、小説・新人間革命執筆開始から25周年の佳節の年です。
○所感
2018年の新春の御書は顕仏未来記でした。
世界広布新時代 栄光の年の船出にふさわしい御書と思いますが、いかがでしょうか。
この「栄光の年」に、池田先生は3つの指針「英知・情熱・勝利」を示されました。
その三指針についての具体的な意味を以下に示します。
1.英知:徹して御書に学べ。
2.情熱:折伏への情熱を忘れるな。
3.勝利:他の誰でもない、自分に勝て。(勤行・唱題)
3の自分に勝ては、具体的には勤行・唱題に徹するの意味です。
すなわち、御書、折伏、勤行・唱題。信心根本の年、と言えるでしょう。
さあ、平成30年、平成時代のラストの年です。
大いに御書に学び、お題目をあげ切り、折伏を実践しましょう!
そして、新人間革命の「勝ち鬨」のごとき大勝利を果たしましょう!
拝読御文の冒頭には伝教大師の言葉が引用されています。これは、法華経見宝塔品に説か
れる「六難九易」を通して、深い教えである法華経の弘通を呼び掛けた言葉です。六難九
易は、六つの難しいことと九つの易しいことを挙げて、仏の滅後の妙法弘通の難しさを示
しています。
九つの易しいこととは、「須弥山を手にとって他の国土に投げ置く」「足の指でこの大宇
宙(三千大千世界)を動かして、遠くへ投げる」「枯れ草を背負って劫火のなかに入って
も焼けない」などです。常識では到底、成しがたいと思われることばかりですが、悪世に
妙法を持ち弘めることに比べれば、これらはまだ易しいと釈尊は言います。
六つの難しいこととは、滅後悪世に「法華経を弘める」「しばらくでも法華経を読む」
「法華経を受け持ち続ける」などです。
仏の滅後に妙法を自ら実践し、弘めていくことが、いかに難事であるかが強調されている
のです。
釈尊は、この六難九易を通して何を示したかったのでしょうか。
池田先生は「それは、末法広宣流布が難事であることを強調することで、民衆救済の強い
誓願を起こすべきであることを菩薩たちに勧めるためです」と述べています。
仏の滅後に妙法を弘める人には、必ず難が競い起こります。その困難を自覚し、”いかなる
難があっても末法広宣流布を断固、進める”と誓うことが、広布推進の原動力となります。
広布の誓願を立て、それを貫くことが、信仰の実践における根幹となるのです。
正しい教えである正法を流布し、万人を仏境涯に導くことこそが、仏法の目標です。
それゆえ、法華経には「我滅度して後、後の五百歳の中、閻浮提に広宣流布して、断絶し
て悪魔・魔民・諸天・竜・夜叉・鳩般茶等に其の便を得しむること無かれ」(法華経601
ページ)と説かれています。
この経文は「後の五百歳」、すなわち末法において、正法を全世界(一閻浮提)に広宣流
布していくべきことを述べたものです。
日蓮大聖人は、こうした法華経の経文の通り、末法の悪世において命に及ぶ幾多の大難を
忍ばれて、南無妙法蓮華経の大法を弘通されました。
御書には、次のように示されています。
「大願とは法華弘通なり」(御書763ページ)
「日蓮が慈悲曠大ならば南無妙法蓮華経は万年の外・未来までもながるべし」(同329
ページ)
まさに広宣流布こそ、大聖人の根本精神であり、大聖人は弟子に対しても、広宣流布に生
き抜くよう、繰り返し促されています。
この大聖人の御精神を受け継いで、御書に仰せの通りに妙法を弘通し、広宣流布を進めて
きた和合僧(仏法実践者の集い)が創価学会です。
大聖人滅後700年の間、創価学会が出現するまで、誰も妙法を弘めることはできません
でした。創価学会が、「閻浮提に広宣流布」との経文通り、事実の上で日本はもとより、
世界中に妙法を弘めてきたのです。釈尊と大聖人の未来記(予言)を実現したのが創価学
会にほかならないのです。
「三国四師」の「三国」とは、インド、中国、日本を指し、「四師」とは、妙法を覚り、
時代に応じて正法である法華経を弘めた4人の正師を指します。
日蓮大聖人は拝読御文で、インドの釈尊、中国の天台大師、日本の伝教大師という三国の
正師を受け継いで、御自身が末法に妙法を弘通してきたと述べられています。そして、こ
の三国三師に御自身を加え、「三国四師」と名付けると宣言されています。
これは、釈尊から始まる仏教正統の精神が、天台大師、伝教大師を経て、大聖人に継承さ
れているとの宣言です。
三国四師は、法華経の行者の系譜です。この系譜こそ、仏教の”本流”であることを示すも
のにほかなりません。仏法の継承は、万人の幸福の実現という根本の目的を正しく受け継
ぐところにあるのです。
大聖人は、末法濁世に生きる人々を救うために、法華経の極理である「南無妙法蓮華経」
を顕され、唱題行によって万人がその身のままで成仏できる幸福の大道を開かれました。
仏法の正統は、創価の師弟に厳然と受け継がれているのです。
いかなる大難をも越えて、法華弘通の誓願に生き抜くことが、「仏の心」を我が心として
いく唯一の道なのです。
どんなことがあっても、広布の誓願に生き、自身の使命を果たし抜こうとする「強い心」
「深い心」を貫けば、我が生命を仏の生命へと鍛え上げていくことができる。
そのことを大聖人は「浅きを去って深きに就くは丈夫の心なり」との伝教大師の言葉を
もって示されています。
「丈夫の心」とは、法華経に示された「仏の心」のままに、敢然と広宣流布の信心に立
ち上がる「勇者の心」にほかなりません。
勇敢に広布に戦い抜くなら、「仏の心」が我が生命に満ちあふれてこないわけがない。
(『希望の経典「御書」に学ぶ』第1巻)
本抄の末尾で大聖人は、インドの釈尊、中国の天台大師、日本の伝教大師という法華宗
の三国三師を受け継いで、末法に妙法を弘通してきたと述べられています。したがって、
御自身を加えて「三国四師」と名づけると宣言されています。
この「三国四師」は、法華経の行者の系譜です。
それは、万人の成仏という、仏教の究極の理想を実現する真の正統であり、その道を開
きゆく創造的開拓者が法華経の行者です。
妙法という無限の力を自他ともの胸中に沸き立たせ、濁悪の世にあっても蓮華のように
価値の花を咲かせ切っていく。その勝利の人華を陸続と開花させ、自分も蓮華と咲き、
万人をも蓮華と輝かせていくのが「法華宗」です。言い換えれば、「法華宗」とは、万
人に尊極の生命を開く、「人間宗」であり、「価値創造宗」です。(中略)
創価学会は、この三国四師の系譜において創立された、真の法華宗を世界に弘通してい
る唯一の仏勅の教団です。
そして、無数の地涌の菩薩を全世界に呼び覚まし、万年の未来にわたる堂々たる平和へ
の大行進を続ける尊貴なる和合僧団であります。
戸田先生は「広宣流布のさきがけをしようではないか」と叫ばれ、「創価学会は宗教界
の王者である」と宣言されました。
私は、私とともに戦ってきてくださった皆さまとともに、「我らこそ御本仏の未来記の
主人公なり」と、誇り高く宣言したい。
(『希望の経典「御書」に学ぶ』第1巻)