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暁鐘 五十一

広宣流布は、団結の力によってなされる。そして、団結といっても、皆がいかなる人間観

をもっているかが、重要な決め手となる。ゆえに、山本伸一は、誰もが使命の人であると

いう仏法の人間観に立ち返って、団結について語っておこうと思った。

「皆が等しく広宣流布の使命をもっていても、個々人の具体的な役割は異なっています。

たとえば、一軒の家を建てる場合でも、土台を建設する人や大工仕事をする人、内装工事

を行う人など、それぞれが責任をもって作業をすることで、立派な家が完成する。

広宣流布の大偉業も、さまざまな役割の人が集まり、それぞれの分野、立場で、個性を発

揮しながら、力を合わせることによってなされていく。分野、立場の違いはあっても、そ

れは、人間の上下などではありません。

したがって同志は、互いに個性、特性を、尊重し、励まし合い、信心の連帯を強めながら

前進していかなくてはならない。これが異体同心という、仏法の団結の姿です。

学会にも組織はありますが、それは活動を合理的に推進していくための機能上の問題にす

ぎない。したがって、役職は一つのポジションであり、人間の位などでは決してない。

ただ、役職には責任が伴う。ゆえに、幹部は人一倍、苦労も多い。同志は、皆のために働

くリーダーを尊敬し、協力し、守っていくことが大事になります」

また、リーダーの在り方にも言及した。

「幹部の方々は、心の余裕をもち、決して感情的になったりせずに、皆を大きく包容して

いただきたい。

リーダーがピリピリし、何かに追われ、押しつぶされそうな状態では、日々、楽しく、同

志を善導していくことはできないし、それでは後輩がかわいそうです。

これから、最も幹部に求められていくのは包容力であり、温かい人間性です。いかに人格

を高めるかが、信仰の力の証明となっていきます。どうか、自身を見詰め、自らを成長さ

せようと、真剣に唱題し、仏道修行に励んで、境涯を開いていってください」

 

 

暁鐘 五十二

 山本伸一は、小会合の大切さも強調した。

「小さな会合を、着実に重ねていくことです。メンバーがそろわないことがあっても、

また声をかけ、よく励まし、疑問があれば、納得するまで語り合い、友情と信頼の絆を

結んでいくことが大事なんです。

寄せ返す波が岩を削るように、月々、年々に小会合を続けていけば、それが団結と前進

の力になっていきます。地道な、目立たぬところに、同じことの繰り返しのなかに、

いっさいの勝敗を決する生命線があるんです」

また彼は訴えた。

「ナチスと戦ったフランスのレジスタンス運動は、よく知られています。

皆さんは、日蓮大聖人の仏法を根本とし、自分の己心の魔、堕落へのレジスタンスを進め

ていただきたい。また、世の中の不幸を幸福へと変えていくための、仏法のレジスタンス

運動を展開していってください。

そして、一人ひとりが、生活のうえで、現実のうえで、自身の人格の輝きを示し、誰から

も信頼され、慕われる、地域の柱となってください。愛するフランスのために!」

伸一は、五月十六日にソ連からヨーロッパ入りして以来一カ月、行く先々で信心懇談会を

開き、激励、指導に徹してきた。そこにこそ、ヨーロッパ広布の新時代を開く、確かなる

方途があるからだ。未来の建設は、人を育てることから始まる。

また、彼は、“日蓮仏法は世界宗教である。そうであるならば、二十一世紀の広宣流布の潮

は、世界の各地から起こしていかねばならない”と、強く思っていたのである。

六月十六日午前、伸一は、宿舎のホテルに、既に旧知の間柄であるパリ大学ソルボンヌ校

のアルフォンス・デュプロン名誉総長夫妻の訪問を受け、“ヨーロッパ文化”や大学教育に

ついて意見交換した。

この日の午後、伸一の一行は、シャルル・ド・ゴール空港からアメリカ・ニューヨークへ

と飛び立った。広布の旅路は、常に新しき闘魂をたぎらせ、進む、連続闘争である。

 

 

暁鐘 五十三

大西洋を越えて、山本伸一の一行がニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港に到着

したのは、現地時間の十六日午後三時前であった。ニューヨークは六年ぶりの訪問である。

このニューヨークでは、以前、現地の宗門寺院に赴任した住職が狡猾に学会批判を重ね、

それに紛動された人たちによって組織が攪乱され、なかなか団結できずにいた。伸一は、

徹底してメンバーと会い、地涌の使命に生きる創価学会の確信と誇りを、一人ひとりに伝

え抜いていこうと心に決めていた。

また、アメリカの広宣流布は、ロサンゼルスなど西海岸が先行しており、ニューヨークな

ど東海岸での広布の伸展が、今後の課題でもあった。そのためにも人材を育てたかった。

彼は、この日も、翌日も、ニューヨークを含むノース・イースタン方面の中心幹部らと何

度となく懇談し、指導を重ねた。

「アメリカは、自由の国ですから、皆の意思を尊重することが大事です。幹部が一方的に、

自分の意見を押しつけるようなことがあってはなりません。必ず、よく意見交換したうえ

で、物事を進めていくべきです。

もし、意見が食い違った場合には、感情的になったり、反目し合ったりするのではなく、

御本尊、広宣流布という原点に立ち返り、一緒に心を合わせて唱題していくことです。

御聖訓に、『仏法と申すは道理なり』(御書一一六九ページ)と仰せのように、活動方

針などを打ち出す際にも、皆が納得できるように、理を尽くすことです。つまり、常に

道理にかなった話をするように心がけてください。道理は万人を説得する力となる。

その意味からも教学力を磨いていただきたい。

御書が、それぞれの生き方に、しっかりと根差していけば、同志を軽んじたり、憎んだ

りすることも、妬んだり、恨んだりすることもなくなり、心を合わせていくことができ

る。

御書は、自分の規範であり、生き方を映し出す鏡です。したがって、人を批判する前に、

自分の言動や考え方を、御書に照らしてみることです。それが仏法者です」

 

 

暁鐘 五十四

山本伸一は、アメリカには日系人のリーダーも多いことから、日々の活動を推進するうえ

での留意点を、語っておこうと思った。

「特に、日系人のリーダーは、日本と同じ感覚に陥らないように注意してほしい。

アメリカは多民族国家であり、人びとの考え方も、価値観も多様です。それだけに、大前

提となる基本的な事柄も、一つ一つ確認して、合意を得ていくことが必要になります。

日本社会のように、『言わずもがな』とか、『以心伝心』などという考えでいると、誤解

を生じかねません」

さらに、世界広布を進めるうえで、心を合わせていくことの重要性を訴えた。

「アメリカに限らず、すべての国のメンバーは、各国の法律や慣習等を順守し、尊重しな

がら、よき市民として、仲良く、活動を進めていただきたい。『異体同心なれば万事を成

じ』(御書一四六三ページ)です。同志は心を一つにして、世界広布の流れを加速させ、

永遠ならしめていかなければならない。

その広宣流布の原動力こそ、創価の師弟です。したがって、リーダーはメンバーを自分に

つけるのではなく、皆が師弟の大道を歩めるように指導していくことが肝要です。

それには、リーダー自身が、清新な求道の心で、創価の本流に連なっていくことです。

自分中心というのは、清流を離れた水たまりのようなものです。やがて水は濁り、干上が

ってしまう。メンバーを、幸福と平和の大海へと運ぶことはできない。

また、広宣流布の機軸に、歯車を嚙み合わせていかなければ、回転は止まってしまう。

仮に回っていても、空転です。

ゆえに、どこまでも、創価の本流に連なろう、歯車を嚙み合わせていこう、呼吸を合わせ

ていこうとすることです。これが、世界広布に進むリーダーの心でなければならない」

創価学会は、世界宗教として大きく飛躍する時を迎えている。そのための最も大切な要件

は、広宣流布の信心に立ち、揺るぎない異体同心の団結を築き上げていくことである。

 

 

暁鐘 五十五

十八日正午、山本伸一は聖教新聞社の社主として、マンハッタンのロックフェラー・セン

ターにあるAP通信社を訪問し、社内を視察したあと、キース・フラー社長らと会談した。

人種問題や、マスコミの責任と役割など、多岐にわたって意見交換を行った。

そのなかで伸一は、世界の出来事を、正しく世界中に知らしめることは、「平和への最高

の手段」であると述べ、同社の奮闘と努力に敬意を表した。

また、経済などの不安が増すと、人間は、理想よりも目先の利益を重視し、理性よりも感

情が先行し、排他的な社会がつくられていく懸念があると指摘した。そして、人びとが平

和・社会貢献の意識を高めていくには、自分の感情に翻弄されるのではなく、心の師とな

る真の宗教が必要であると訴えると、フラー社長も大きく頷き、同感の意を示した。

AP通信社を後にした伸一は、同じマンハッタンにあるパーク・アベニュー・サウスのニ

ューヨーク会館を訪れた。

ここはビルの一階にあり、八十脚ほどのイスしかない、小さなフロアの会館であった。

伸一の訪問を聞いて、多くのメンバーが集って来たため、会場は立錐の余地もなかった。

「グッド アフタヌーン!(こんにちは!) お会いできて嬉しい。ニューヨークの広宣

流布を、また、皆さんの健康と幸せ、ご一家の繁栄を願って、一緒に勤行をしましょう」

伸一は、ニューヨークの同志が一人も漏れなく信心を全うし、崩れざる幸福境涯を築くと

ともに、社会にあって信頼の柱に育ってほしいと念願しながら、深い祈りを捧げた。

そのあと、信心の基本中の基本である、南無妙法蓮華経の偉大なる力と、唱題の大切さに

ついて語っていった。

御本尊への祈りこそ、信心の根本である。それを人びとに教えるための組織であり、学会

活動である。広宣流布への前進の活力も、宿命転換への挑戦も、また、団結を図っていく

にも、各人が御本尊への大確信に立ち、強盛な祈りを捧げることから始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 


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