『汝早く信仰の寸心を改めて速やかに実乗の一善に帰せよ。然れば則ち三界は皆仏国なり
仏国其れ衰んや十方は悉く宝土なり宝土何ぞ壊れんや』
(立正安国論、32ページ)
(通解)
あなたは早速ささやかな信仰の心を改めて、速やかに、本当に成仏へ至らせる教えである
唯一の善い法に帰依しなさい。そうすれば三界は皆、仏国である。仏国であるなら、どう
して衰微することがあるだろうか。十方の国土は、ことごとく宝土である。宝土であるな
ら、どうして破壊されることがあるだろうか。
社会には、人間を不幸に陥れる魔性が渦巻いています。それを打ち破り、平和な楽土を築
いていく闘争が「立正安国」。それは”寸心を改める”—つまり、心の変革から始まります。
「実乗の一善」とは、万人の成仏を説く法華経の法理であり、南無妙法蓮華経のこと。
この根本の教えは、広く言えば、生命の尊厳に基づいた「人間主義の哲学」ともいえます。
政治や経済をはじめ、社会のあらゆる営みに、「人間主義の哲学」が脈打つことが大事で
す。
池田先生は「立正安国論」を拝しつつ、「人心が揺れ動く社会だからこそ、確固たる生命
尊厳の思想と活力ある希望の哲学、他者のために貢献する人間主義の連帯が何よりも大切
だ」「多くの人と対話し、心広々と『善の連帯』を結んでいくのです」と語っています。
『此れより後も・いかなる事ありとも・すこしもたゆむ事なかれ・いよいよ・
はりあげてせむべし』
(兵衛志殿御返事、1090ページ)
(通解)
これより後も、どのようなことがあっても、少しも弛んではならない。いよいよ声を張り
上げてせめていきなさい。
池上兄弟の弟・宗長へのお手紙です。当時、兄・宗仲が法華経の信仰ゆえに、父親から勘
当。一旦は許されましたが、一進一退の状況にあった兄弟に「此れより後」の心構えを示
された御文です。
困難に直面した時も、逆に好転した時も、決して追撃の手を緩めず、今まで以上に「いよ
いよ」声を大にして敵を攻め抜いていく。それが大聖人仏法の”戦う魂”です。
戸田先生は大阪事件の渦中、この御文を拝し、「黙っていれば、世間はそれが真実だと思
い込んでしまう」「正義が嘘八百に負けてたまるものですか」と。池田先生も「この『折
伏精神』『攻撃精神』に心を合わせてきたからこそ、世界的な学会になった」と。
どんな状況にあっても、最後まで「はりあげてせむべし」。今こそ、強く語りぬき、勝利
へ前進!