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〈グローバルウオッチ〉 若者と社会 人生を支える「第3の場所」②

 

苦楽を分かち合う中で人に尽くす喜びを知る

***********伊達太陽県の男子部のメンバーと共に、

***********仏法の研さんに励む大光力さん

**************(手前中央。今月、伊達会館で)

 

現代社会の課題を見つめる「グローバルウオッチ」。今回は、

社会に貢献する人生に挑むアメリカと日本の男子部員を取材した。

職場や家庭以外の「第3の場所」という視点から、創価の思想・哲学の価値について考える。(記事=萩本秀樹)

 

自分らしく輝く

アメリカSGI(創価学会インタナショナル)のセス・リーパーさん(男子部部長)は2013年、SGIに入会

した。 カリフォルニア生まれ。5歳の時に両親が離婚し、姉ときょうだい2人、母と共に暮らし始める。それで

もリーパーさんは定期的に父と会い、家族の懸け橋でいようと努力した。

その父が再婚した女性は、リーパーさんを家に寄せ付けず、嫌がらせをするように。さらに学校でも、リーパーさ

んはいじめの対象になった。

自分の居場所は、どこにあるのか。自信を喪失し、人を信じることができなくなった。

その過去は、現在住んでいるニューヨークに来ても、トラウマとなって残る。大手化粧品会社に就職して程なく、

同僚や顧客が、陰で自分の悪口を言っているような想像に駆られた。 極度の不安からうつ状態に陥り、周囲とコ

ミュニケーションが取れなくなった。昨年、会社から解雇を告げられた。

仕事がない。また一つ、居場所を奪われた気がした。 どん底にいたリーパーさんが、向かった先はSGIの会合

だった。

久々に会う、男子部の仲間。笑顔で迎えてくれた。創価班として、行事運営を支えるようになった。自分が誰かの

役に立てている実感が、うれしかった。
「惨めな思いをしていた自分を、皆が受け入れてくれた。SGIは、自分が、自分らしくいられる場所なんです」

ある夜、体調を崩して寝込んでいたリーパーさんに、男子部のリーダーから連絡が。 「何かできることはあるか

い?」。深夜、食べ物や飲み物がいっぱいに入った袋を抱えて、家まで来てくれた。手にしたジュースは、少しぬ

るくなっていた。「スーパーが閉まる前に買い物を済ませ、荷物を持ったまま、メンバーを訪問激励した後だった

のだと思います」

それでも疲れた表情を見せずに、悩みに耳を傾けてくれた。

「人のために尽くしたい」。 学会活動に励む中で、心に生まれた強い気持ちは、仕事への向き合い方を変えた。

使命ある職場で働きたいと祈る中、障がいを持った子どもたちが通う学校に就職を果たす。

本年、教員としての初年度を終えた。脳に重度の障がいを持つ子どもが、歌を歌えるようになった。小さな成長の

足跡を見守るのが、大きな喜びだ。

「障がいを理由に、健常者と同じ経験ができない子どもたちがいる。そんな彼らにも、自分らしく輝ける場所があ

ることを伝えていきたいんです」
  
誰もが受け入れられる場所。それは時に、家庭でも、職場や学校でもなく、地域社会や宗教団体などの「第3の場

所」であることもあるだろう。そんな場所が身近に広がることで、より豊かで充実した人生の可能性が開けていく。

こうした視点から日本を見つめると、どうか。1990年代以降、情報消費社会とグローバル社会化の進展によっ

て人間は「個人化」し、他者や社会のサポートを受けにくくなったと指摘される(注1)。

また同じ時期、多くの人が自分の居場所を失った。“自分がそこにいるのが当然として、他者から受容・承認され

ている空間”。そんな場所がないことによる生きづらさが、さまざまな社会問題となって浮かび上がってきている

(注2)。

 

寄り添い続ける

北海道伊達市で生まれ育った大光力さん(県青年部長)には、小学生の頃の思い出がある。

同年代の友人と、市内を巡るサイクリングに参加したこと。近所にできたアスレチックで、学校帰りによく遊んだ

こと。

親たちの間でも、食べ物のお裾分けや暮らしの情報交換など、「顔を見て」「言葉を交わす」のが常だった。

93年、大光さんは高校進学を機に札幌へ。卒業後は、そのまま札幌で就職した。 父の会社を継ぐため、伊達に

戻ったのは2005年である。

昔と比べて、人のつながりの在り方は変化したと、大光さんは感じた。 地域活性化のため、06年、大光さんは

伊達市の青年会議所に入った。活動する中で、あのサイクリングを計画したのも、アスレチックを提供したのも会

議所だったと知る。

「今度は自分が恩返しをする番だと思いました」  会議所が目指すのは、分け隔てなく関わり合う交流の場。

ある年は雪まつりを主催し、1人暮らしの高齢者と共に運営を手掛けた。じゃがいもを育て、工場でポテトチップ

スに加工する体験も企画。参加した親子から、喜びの手紙も届いた。

市民同士といえども、普段はなかなか顔を合わせない人たちばかり。そんな人たちが、ふとした時に集い、心を開

ける居場所をどう、つくっていけるか。

「私はその模範を、学会活動を通して学びました」

大光さんは学会3世。札幌から伊達に戻った時、仕事の多忙を理由に会合参加を断り続けていた。

そんな自分を、諦めずに励ましてくれる先輩たちがいた。その一人、山口順也さん(現・壮年部本部長)は室蘭か

ら、大光さんのもとに通い続けた。

「もう逃げるのはやめよう」と、真剣に語ってくれた。職場の人間関係で悩んだ時は、「他人じゃない。君が変わ

るしかないんだ」と。そして、一緒に祈り続けてくれた。

山口さんは、誰とでも、とことん関わる。読み書きが苦手な部員とは毎日、手紙を書く練習をした。ある部員とは、

就職先が決まるまで一緒に悩んだ。

人は言葉だけでは変わらない。寄り添い続ける人が必要だと、大光さんは学んだ。そして自分も、誰かにとっての、

そんな存在になりたいと思った。

今、男子部のリーダーとして、多くのメンバーと出会う。自分とは異なる趣味や性格の人もいる。それでも心を開

いて語れば、一人一人が、自分にはない考え方をたくさん持っていることに気付くのだ。

青年会議所では昨年、理事長を務め、道南地域のスポーツ大会などを主催した。 皆が互いの良さを知り、地域の

魅力を発見できるような活動を心掛ける。

他者と関われば関わるほど、たくさんの「気付き」がある。尽くすことで、心が満たされているのは自分の方だと、

大光さんは感じている。

 

皆が主役・脇役

 社会学者のオルデンバーグ氏は、「第3の場所」について語る。「自分自身が幸せな気分になり、同時に『ほか

の人びとを幸せな気分にする』……(その経験は)利己主義と利他主義の完璧な融合である」(注3)

今回紹介した2人の男子部員の姿にも、学会やSGIで得た活力を、それぞれの舞台で発揮し、人に尽くしていこ

うとする実践があった。  互いを受け入れ合う「第3の場所」は、一人一人に居場所を提供すると同時に、“人の幸

福に尽くす喜び”を再確認する場にもなる。

老若男女が垣根を越えて集う学会も、苦楽を分かち合う「第3の場所」だ。そこでは、皆が主役であるとともに、

相手を輝かせる脇役でもある。そうして互いに、多様な人生を、色とりどりに輝かせていくのである。

池田先生は語っている。

「人のために働くなかに『真実の自分』が輝く。『生命の底力』が湧いてくる。それが『人間』です。法華経が教

えているのも、その生き方なのです」(『法華経の智慧』)

 

 注1 田中治彦・萩原建次郎編著『若者の居場所と参加』(東洋館出版社)

 注2 総合人間学会編『〈居場所〉の喪失、これからの〈居場所〉』(学文社)

 注3 『サードプレイス』忠平美幸訳(みすず書房)

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 メール:g-w@seikyo-np.jp
 ファクス:03-5360-9613

 


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